それは、“クリッカーを鳴らす”“ご褒美をあげる”、そのタイミングを身につけること。これが、実は大切なことなのです。
=Index=
・タイミングが命!
・タイミングの練習Treat Machine/Click And Then Treat
・観察力を養う練習Lights Camera Action
・観察→マーク→強化=キャプチャリング
タイミングが命!
「クリッカーを慣らす、ご褒美をあげる、そのタイミングを身につけることがまずは大切です」と山田さん。 |
「一つには、クリッカーを慣らすことと、ご褒美をあげることのタイミングの大切さを理解せず、それを身につけないままにトレーニングを始めてしまうことで混乱が起きてしまう、ということがありますね」と山田さんは指摘します。
「行動が起こっているまさにその時にクリッカーを鳴らす。そして、それからおおむね1秒くらいの間にすぐにご褒美を与える。この二つのスキルはペアになっているのですが、同時にセパレートでなければなりません。クリッカーは、犬に“そう、それだよ!”と気づきを与えるためのイベントマーカーとしてとても意味を持ったシグナルである必要があるわけですけれど、クリッカーを鳴らすのと、ご褒美をあげるのとがほとんど同時になっていたり、つまりオーバーラップしてしまうとクリッカーの音の意味が薄れ、イベントマーカーとしての働きが期待できなくなります。結果的に、犬はクリッカーの音ではなく、ご褒美に注目するようになってしまうでしょう」(山田さん)
まずは、タイミングを身につけることから始めよう!
なるほど。クリッカーの音で気づきを与え、ご褒美でその行動を強化しつつも、イベントマーカーとしてのクリッカー、リインフォーサーとしてのご褒美、と独立した役目があるということを理解する必要があるというわけですね。しかし、これは頭で理解できたとしても、実際やるとなったらそのタイミングが崩れそうな気もしてきます。「ですから、その練習をすることが、まずは必要であり、大切なんです。タイミングがずれたままトレーニングをしてしまうと、犬にしたらどうしてクリッカーが鳴っているのか、その意味もわからないということになりますから」(山田さん)
では、そのタイミングを身につける練習から始めることにしましょう。……その前に、ここで一つ気になることがあります。クリッカーを鳴らし、ご褒美をあげるタイミングを練習したとしても、実際犬をトレーニングする段階に移った時、最初のうちは失敗してしまうこともあるでしょう。もし、間違ってクリッカーを鳴らしたり、おやつをあげるタイミングがずれてしまったりしたら?
「間違って鳴らしてしまった時には必ずご褒美をあげるようにしてください。最初の段階では、“クリッカーが鳴ったらご褒美がもらえる”といった一つの約束事である必要があります。クリッカーが鳴ったのにご褒美が出てこないのでは、メッセージ性が弱まることになりますので。それから、ご褒美を与えるタイミングがたまに遅くなる分には問題ありません。ただ、常に遅れてしまうようでは、どの行動に対してクリッカーが鳴ったのかわからなくなり、行動を強化する意味があやふやになってきますので注意してください」(山田さん)
それを頭に入れたところで、次のページでは、クリッカーを鳴らし、ご褒美を与えるタイミングを練習してみましょう。