動力性能はまさに必要十分
ルーテシアの1190~1210kgの車両重量に対して、キャプチャーは1270kgと成人男性1人分くらい重くなっているが、1.2L直噴ターボでもシーンを問わず不足は感じさせない。最高出力の120psは1.6LのNAエンジン並み、190Nmの最大トルクは2.0LのNAエンジン並みというだけあって、ECOモード時には、1-2速、2-3速変速時にDCT特有の「息継ぎ感」のようなタメが感じられるが、少しアクセルを戻すなど慣れれば気にならない。
より速く走りたい時には「ECOモード」をオフにしてやれば、アクセルマッピングが変わり、変速もアクセルレスポンスもよりスムーズになる。高速道路の追い越し車線をリードすることもたやすい。
最大の美点は乗り味だろう。少し重くなり、重心高が高くなったことでダンパーのセッティングを変えたこともあり、ルーテシアよりも少し重厚でありながら滑らかに路面を捉え、路面のショックをいなす様子は感動的ですらある。
価格や志向性が違うとはいえ、ホンダ・ヴェゼルと天と地ほど違う上質な乗り心地には感嘆するしかなく、首都高のコーナーを攻めてもだらしなくロールして腰砕けになることもない。ハンドリング、路面を捉えるロードホールディング性能は間違いなく一級品だ。
ルーテシアにプラスアルファの余裕
装備もまずまず充実している。クルーズコントロールやヒルスタートアシスト、オートライト、雨滴感知ワイパーなどを標準装備。ルーテシアよりも広くて使いやすい後席や荷室、200mmのロードクリアランスなど、4WDこそ用意されないが、雪国でない限りFFでも不足はないはずで、子どものいるファミリーやアウトドアなどの趣味を持つ人に、小粋なフレンチコンパクトSUVはピッタリなはずだし、この世界観が好きな人なら所有するだけでワクワクさせてくれるデザインやカラーリングも大いに魅力だ。
ルノーらしく文句のないシートの座り心地や乗り味、必要十分な動力性能によりロングドライブも快適なはずで、そこそこ小さくて長い距離を快適に走れるクルマを探しているならぜひ選択肢に入れたいところだ。