仏具店が並ぶ通りとかっぱ橋道具街、
個性的な商店街がある街、田原町
浅草の隣り、東京メトロ銀座線の営業キロ数にして800mほどの距離にある田原町は浅草通りの南側に並ぶ仏具店と、浅草通りに直行するかっぱ橋道具街で知られた街です。仏具店が集まっているのは、上野に寛永寺、そして浅草周辺に明暦の大火以降、江戸の中心部から寺社が移転、そのニーズに合わせたものだとか。南側に集まっているのは仏壇などの日焼け防止のため。中には古い、雰囲気のある建物もあり、歴史を感じます。
もうひとつの専門店街、かっぱ橋道具街は飲食店御用達の調理器具、食器や厨房機器、家具、看板などの問屋街が集まる場所。小売もしており、最近は料理好きに加え、食品サンプルを買い求める外国人旅行者などの姿もよく見かけます。
こうした専門性の高い店が集まっている一方、通りを一本入ると、かっぱ橋道具街の近くにある東本願寺を除けば小さな寺社も多い、静かな住宅街です。とはいえ、ところどころには浅草から下町の老舗御用達のごま油問屋、豆腐屋なども何気なく点在しています。升で量り売りしてくれる豆菓子店など、市井の老舗も多く、浅草近くならではです。全体に低層の建物が多く、空が広いのも特徴です。
点在する寺社の中には江戸時代の国学者の墓があったり、戦争中に落語が禁止された時にそれを封ずるために作られた塚があったりと由来はあるのですが、多くの観光客を集めるというものではなく、知る人ぞ知るというところ。浅草の喧騒からさほど離れていないにも関わらず、ゆったりした暮らしが営まれている場所というわけです。
とはいえ、最近は少しずつ変化の兆しも。今風のしゃれたカフェやイタリアンレストラン、工房なども増えつつあり、住宅の建替えなども目につくように。東京スカイツリー建設前後から浅草周辺でも建替え、マンション建設が進みましたが、現在がそれがさらに外周部に及んでいる様子。田原町を最寄りとするエリアでも、マンション建設の予定などがいくつかあるようです。
安定した運行ぶりで便利な東京メトロ銀座線、
商業施設はやや少なめ
立地の面から考えると、浅草はもちろん、2キロと離れていない上野も十分利用できる範囲にありますし、東京メトロ銀座線は他の地上路線と乗り入れ、延伸などをしていないため、運行が安定しているのがメリット。2014年2月の大雪の際にも、銀座線、丸ノ内線の2線だけは平常運行していたほどです。
一般論としては延伸、乗り入れで利便性は高くなるとされますが、事故が起きた時にはその影響が遠くまで波及することになり、時として不便なことも。田原町からは、同じ銀座線の他駅だけでなく、都営大江戸線・同浅草線の蔵前、都営大江戸線の新御徒町なども利用でき、目的地によって乗る路線を選ぶことも可能。お隣の浅草ほど知られていない街ですが、実は意外に便利とも言えます。
ただ、スーパーや日用品を買う店などが少ないのはやや難。田原町駅近くにはスーパーがありますが、住宅街に入ってしまうとコンビニも含めて、ほとんど店はありません。ちょっと何か足りないという時にすぐそこで買えるという場所ではありませんから、そうした暮らしをしている人には不向きかもしれません。
最後に銀座線田原町の住宅事情を見ていきましょう。