介護をしてくれた人への遺産分配
自分を献身的に介護してくれた人へ多くの財産を渡したい、という気持ちはどなたも当然にあると思います。ですが、何も対策しないままに相続が発生してしまうと、相続人での遺産分割協議で財産の分配を決めることになり、これがもめごとの原因になりかねません。残念ながら一度もめてしまうと円満にまとまることは少なく、また相続人でない人へは財産が引き継がれません。これを防ぐ対策としては、やはり生前の対策が重要になってきます。
生前対策の例
相続人に対するものももちろんですが、相続人でない人へも感謝の意を込めて財産を渡すことができます。■遺言を作成する
相続人でない人へも財産を渡すことができます。注意点としては相続人が持つ権利「遺留分」です。「遺留分」を確保した遺言内容であれば被相続人の意思通りに財産を渡すことができます。その際に介護をしてくれた人への感謝も書いておけば、他の相続人へも気持ちが伝わるでしょう。
■養子縁組をする
相続人でない長男の妻へも相続させたい場合、養子縁組し、実の子と同じ相続人とします。注意点は他の相続人の法定相続分を少なくすることにもなるため、親から子全員へ養子としたことや思いを伝えておきましょう。
■生前贈与をする
相続人でない人にも贈与ができます。110万円までの贈与であれば贈与税の申告も不要です。
■生命保険金の受取人に指定する
生命保険金は遺産分割する財産でなく、あくまで受取人の固有財産です。生命保険金を受け取らせることで、結果、相続人でない人にも現金を渡すことができます。注意点は、全財産に占めるその保険金の割合が多いと、その分、遺産分割できる財産が少なくなるため、他の相続人から不公平(特別受益)を訴えられる可能性があります。
■良好な親族関係を構築する
実際のところこれが一番の対策だと思います。親から子全員へ思いを伝える、きょうだい同士で互いに思いやる、介護をしてくれた人への気遣いなど、普段から良好な関係を築いている家庭はもめることが少ないようです。
親の介護を考慮するにあたり、法律的に問題ない対策であってもどうしてもわだかまりが残ってしまうもの。最後はやはり気持ちの問題です。まずは互いを知り、互いを労う気持ちが一番大切なのではないでしょうか。
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