家族間の相続による遺産分割の争い“争続”は、なぜ起こってしまうのでしょうか? 一度争いが始まってしまうと、遺産分割が終わった後も人間関係が元に戻ることはほとんどありませんので避けたいものです。今回は、誰にも共通する一般家庭にもありがちな争続の、生前にできる相続対策について、同居の兄(妻あり)、別居の弟という例で紹介します。なお、相続対策の筆頭である「遺言」は、それが火種となって争続になることもあるため、争続対策としては必ずしも適切ではないと考えます。

「争続」は資産家に限ったことではない

長年の思いが相続をきっかけに明らかに

長年の思いが相続をきっかけに明らかに

まず、「自分は資産家ではないから、将来に争いが起きる心配はない」と考えている人が多くいらっしゃいますが、実際には、資産家か否かに関係なく「争続」を多く目にします。自分は大丈夫、と思い込んでいる人こそ注意が必要です。比較的、将来に相続税が見込まれるような資産家の方が、生前に「もめない対策」をしっかりしている傾向にあります。

また、親からすれば子ども全員を同じ愛情で育ててきたつもりでも、全く同じ世話や学費を出すのは難しく、どうしても差が出てしまうものです。この過去について、子ども達は少なからず何らかの不公平感を持っていることが多く、この差を相続で取り返そうと思ってしまうのです。

本質は財産をめぐっての争いではない

実際に相続が起きた後に何をもめたのかを紹介します。結果的には引き継ぐ財産の差による争いですが、本質は財産ではないことが多いです。これは考え方の違いが原因です。

兄)自分は親と同居して介護で苦労してきたが、弟は何も苦労していない。
弟)兄は苦労せず自宅に住めるが、自分は住宅ローンで苦労した。

兄)親が入院中に自分は何度も見舞いに行ったが、弟は数回しか見舞いに来ない。
弟)兄は近くの病院だからいつも行けるが、自分は遠方で交通費もかかるし頻繁に行くことができない。

兄)過去の不公平を今さら言い出し、自分の権利を主張して財産を欲しがっている。
弟)財産が欲しいわけではないが、これまで良い思いをしてきた兄に多く財産を相続されるのは悔しいから、自分の権利分をもらうことで兄の相続分を減らしたい。

>>兄弟間でもめる前にどうすればよかったのでしょうか? 次のページへ