歩車分離、クルドサック方式など、
安全に暮らすための敷地計画
たまプラーザ駅から住宅街へ向かう歩行者専用道路。緑の濃さが印象的
もうひとつ、特徴的なのはクルドサック方式と言われる、車が通り抜けられないように袋小路状にデザインされた道路。一番端はロータリーとなっており、そこからは歩行者道路が続く。ロータリーには木が植えられていることが多く、空間の広がりが感じられる。クルドサック自体はときわ台など、他の住宅街でも見ることができるが、規模は小さく、街全体の思想として考えられるほどの例はない。このエリアの大きな特徴である。
また、あまり意識されることはないが、踏切がない点もポイント。踏切事故が起こらないのはもちろん、交通渋滞を招く要因もなく、音の問題も気にならない。見逃されがちだが、大事な点だ。
公園、街路樹、緑化運動など
ほっとできる緑の多い街づくり
並木のきれいな通りが随所に。樹種が通りの名まえになっていたりもする
分譲住宅に建物の規模を抑え、敷地内に多くの植栽を配した物件が多いことも、街全体に緑を感じる要因のひとつ。特に1970年代に建てられたマンショには日本建築学会賞などを受賞した作品もあり、計画全体のレベルも高い。
さらに1972年からは住民も巻き込んだ東急グリーニング運動なる、緑の街づくり運動が始められ(現在はみど*リンクアクションという名称に変更)、公募で選ばれた企画を東急電鉄が支援するという形で続けられている。こうした努力の結果だろう、多摩田園都市ではどこを歩いても緑、四季があり、ほっとする。
たまプラーザ、青葉台……、
商業施設充実で暮らしやすさも
子ども連れから高齢者、女性同士と様々な年代の人が往来するたまプラーザ駅前
それ以外の駅でも、駅周辺にはスーパー、大型家電店その他が立地しており、日常の買い物に困るような場所はない。逆に駅から離れてしゃれた店が点在する場所などもあり、買い物事情は全体としてはかなり良いほうだ。
開発が続く二子玉川。これまでは住宅と買い物だけの街だったが、そこにオフィスができるなど、多機能な街に変わりつつある
子育てからシニア向け、住み替えまで、
各種サービスも充実
沿線のシニア向けのサービスをまとめた冊子。住み替えから高齢者向けのサービス、医療、余暇の活用など様々なジャンルのサービスが掲載されている
ただ、あまりに東急グループのサービスに頼り過ぎていることを不安に思う人もいるようで、そのあたりは痛し痒しといったところ。これまでの経緯からすると、他社に入り込む余地は少ないということだろう。
さて、最後に現在の課題と今後について見て行こう。