花粉症、PM2.5……「空気はタダ」ではなくなった
「住まいの空気質」と聞いてピンと来ない方もいるかもしれません。私たち日本人は「水と空気はタダ」と信じ込んでいましたから、仕方が無いことかもしれません。しかし今や飲み水を購入するのが一般的な時代。空気についても同様なのです。花粉はもちろん、PM2.5といった化学物質が飛来し、そらにより健康を害する可能性がある。もはや「空気はタダ」と安心できる時代ではなくなったようだ
ちなみに私の生まれ故郷の福岡市では昨年、PM2.5への警報が度々出され、外出を控えるよう注意が促されました。このあたりは首都圏などに住む人には実感がないでしょうが、中国大陸に近い九州に住む人たちには大変な危機感があるようです。要するに危機感の地域的な温度差があるということがいえるでしょうか。
このほか、ハウスダスト(ホコリやチリ、ダニなど微生物の死骸など)や建物や家具から発生する化学物質(ホルムアルデヒドやトルエンなど)なども、健康を害する要因となるもの。これらはいわゆる「シックハウス症候群」の原因物質といわれているものです。
アトピー性皮膚炎をはじめ、症状が酷い人になると慢性的な頭痛や吐き気、疲労感といった症状に悩まされるそうです。このように今や空気にも十分配慮しなくては暮らしていけない時代に突入しつつあるわけです。実際、空気清浄機を購入することが一般的になっているわけですから、もはや空気もタダではなくなっているのは明らかです。
もっとも花粉症、PM2.5は外出を控えれば症状の緩和を期待できるのでしょうし、最近の空気清浄機は高性能になっていますから室内にいれば症状の緩和も比較的改善できるようです。しかし、空気清浄機を設置するだけでは、発症そのものを防ぐことはできません。
室内空気質の問題はいつ発症するかわからないこと
せめて住宅内ではきれいな空気の中で安心・健康に過ごしたいもの。そのためには化学物質の放散が少ない建材や家具などを選びたいものだ(写真はイメージ)
幸い私は現在、花粉症の症状はありませんが、もしかしたら発症は目の前なのかもしれません。ですから、今の時期に鼻がむずがゆくなると、「花粉症では!?」とビクビクしています。要するに、誰にでも花粉症などの症状を発症する可能性があるというわけです。
室内空気質の問題は目に見えないことだけに、症状のない人にはあまり関心が持てないかもしれません。ですが、自分自身や大切な家族がいつ発症して苦しい思いをするかもしれませんから、住まいづくりを検討する上では是非、関心を持って頂きたいテーマです。
前置きが長くなってしまいましたが、室内空気質については大きく以下の4つのポイントに整理できると思います。
・24時間換気システムの強化
・ヒートショック対策の対応
・シックハウス症候群への対応
・住宅の気密・断熱性の強化
PM2.5などにより社会的に室内空気質の改善に対するニーズが高まっているのは確かですから、ハウスメーカーなどはそのための様々な提案を用意しています。その内容について次のページでご紹介します。