テクノポップ/海外のテクノポップ

t.A.T.u.ソチ五輪出演の意図を深読みすると

ソチ・オリンピック開会式で日本に続き入場行進するトリのロシア。流れてきたのは、t.A.T.u.とDaft Punkのマッシュアップ! 最近の同性愛者へ締め付けが目立つロシア、同性愛関係を売り物にしてきたt.A.T.u.、この二つの大きな矛盾について考察してみました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

ソチ・オリンピック開会式

たまには時事ネタを書きます。2月7日(日本時間では2月8日)に行われたソチ・オリンピックの開会式をテレビでご覧になったでしょうか? 今回ロシアでの開催ということで、英語のアルファベット順ではなくロシア語アルファベット(キリル文字)の順になっていました。日本は、ロシア語で「Япония(ヤポーニヤ)。「Я」はロシア語アルファベットでは最後の文字ですが開会式では開催国がトリを務めますので、日本そして最後のロシアという順序になりました。 この日本からロシアに続く場面は、日本での視聴率が高かったのではないかと推測します。

t.A.T.u. X Daft Punkの曲が流れてる!

それまでは流れてくる音楽にあまり注意を向けていなかったのですが、ロシア選手団が入場する際、聴こえてきた馴染みのある曲。それは、t.A.T.u.の「Not Gonna Get Us」のリミックス・ヴァージョン! 行進することを前提に作られたのか、ちょっと「We Will Rock You」っぽいアレンジ、そしてよく聴いていくと、なんとDaft Punk「Harder Better Faster Stronger」とマッシュアップされているではないですか!

Daft Punkには降参

Daft Punkと言えば、2014年グラミー賞で、「Get Lucky」がRecord Of The YearとBest Pop Duo/Group Performance、『Random Access Memories』がAlbum Of The YearとBest Dance/Electronica Albumを受賞し、総なめ状態。そして、Daft PunkがStevie Wonder、Nile Rodgers、Pharrell Williamsと共演し、繰り広げたステージ・パフォーマンスに、僕は無条件降伏しました。中盤あたりから、Daft Punkが登場する場面は鳥肌が立ちました。

Not Gonna Get Us

notgonnagetus

Not Gonna Get Us

Daft Punkに話が逸れましたが、本題のt.A.T.u.に戻しましょう。復習ですが、t.A.T.u.のメンバーは、モスクワ出身のリェーナ・カーチナとユーリャ・ヴォルコヴァ。開会式で使われた「Нас не догонят (英題: Not Gonna Get Us)」は、ロシア本国で2000年のデビュー・シングル「Я сошла с ума (英題: All The Things She Said)」に続き2001年にリリースされたセカンド。Trevor Hornプロデュースの元、約2年遅れた世界リリースの際も同じ順序でリリースされました。多くのヨーロッパ諸国で1位(米国でも20位)となったデビュー・シングルではなく、2番目に売れた「Not Gonna Get Us」を選んだのは行進に向いていたからなんでしょうかね。

 

開会式前のステージでも歌ったt.A.T.u.

日本のテレビでの放映を見ていないのですが、t.A.T.u.はロシアを代表する歌手として開会式前のアトラクションとしてステージを披露しています。ロシア語版の「Not Gonna Get Us」つまり「Нас не догонят」を歌唱しています。入場曲とはまた違うヴァージョンです。ちなみに何があったかは定かではありませんが、リェーナが、オリンピックのオーガナイザーから受けた扱いに対してTwitterでぶち切れたとの報告があります(現在は削除)。

t.A.T.u開会式ステージ (RuTube)
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