不安なことは、「自分の経済状態」と「自分の老後」
読者の皆さんは、現在どのような不安をお持ちでしょうか。調査結果では、はっきりした結果が出ました。男性は20代、30代と40代前半の50%以上が「自身の経済状態」、40代後半の50.6%が「自分の老後」と各世代の不安が現れました。女性は、20代と30代前半が「自身の経済状態」、30代後半と40代が「自分の老後」です(下表)。女性の方がより早い段階で「自分の老後」を意識し、不安が高まっている結果が出ました。40代前半では、その割合は81.0%にも上がります。先の「結婚はしないと思う」「結婚願望はない」という回答の割合に非常にリンクしていることも興味深い結果です。一人暮らしは、自由であるとともに、すべての責任は自分にある、と意識的にそして無意識的にも感じているのではないでしょうか。
調査ではまた、「親の老後」に対する不安も、30代、40代と世代が上がるにつれ、割合が高くなることを示しました。親も世帯を持った子どもよりも、単身の子どものことが心配で気になり、親自身の健康不安が出てくると、頼りにするのも単身の子どもであることが多いようです。それが娘となれば、なおさらではないでしょうか。30代、40代の女性の回答に男性より高い割合で「親の老後」の不安が現れていることには、納得感があります。
シングルの方には、ライフプラン、キャリアプラン、住宅取得プランの際に是非、少しでも親のことを考えて頂きたいとお伝えしています。
老後の住まいは、新築一戸建て? それとも実家?
老後の住まいについての質問もあり、こちらも興味深い結果が出ています。「老後の住まいは」という質問に対し、20代は男女とも「新築一戸建て」が多く、男性は19.6%、女性22.1%と他の回答と比べても圧倒的な割合です(グラフ3)。この回答も、先の「いつかは結婚したい」の20代の割合の高さとリンクしているのです。20代の結婚のイメージは、「新築一戸建のマイホーム」なのかもしれません。とても素敵な憧れで、ぜひ実現して欲しいと思いました。30代、40代の回答をみると、20代と異なり回答にバラツキがあることがわかります。その中でも、年齢があがるにつれ割合が高まっているのが「実家」です。20代の「新築一戸建て」の割合が確実に減少し、「実家」が増えていきます。「いつかは実家に戻る」という思いと、「親の面倒は自分がみなければならない」という覚悟のあらわれとも言えます。
親や実家という固定されたものがあるならば、自身のキャリアプランニング、住宅取得プランニングの際に加味しておかなければ、思ったような行動がとりにくくなるケースもあります。過去のご相談事例では、「自分は働き続けたいと思うのだが、親の介護で早期退職せざるを得ず、残念」や「希望の住宅を取得したが、親の介護で実家に戻らねばならず、売却にてこずった」など、このような話は少なくありません。
将来を完全に予測することはできませんが、「自分がこうしたい」という意思を明確に持つことと、起こりうる場面やプランを想定し、それらのプランごとに試算し、対応策を検討しておくことは大変有効であるため、お勧めいたします。備えあれば憂いなし。「こうなったら」と体感したり、イメージしたり、試算したり、それだけで十分な備えです。
この「老後の住居」の調査結果で気になったのは、どの世代においても「あてはまるものがない」という回答割合の高さです。「海外で暮らす」「シェアハウス」「老人ホーム」等、回答に出て来なかった各世代の4分の1の人の回答が気になって仕方がありません。機会があれば、是非お知らせください。