キープコンセプトでも、魅力は“フル”に引き上がった
第三世代のX5が日本上陸を果たした。フルモデルチェンジ、とはいえ、キープコンセプトでメカニズムもキャリーオーバーである。けれども、最近のフルモデルチェンジの常で、熟成をかさねたメカニズムに、軽量化と効率化、そして見栄えのよりいい内外装を採用することで、商品としての魅力を、キープコンセプトであっても、“フル”に引き上げている。なかでも注目すべきグレードが、先代から導入されて日本でも人気を博したディーゼルターボエンジン搭載グレードの35d(欧州名30d)である。
型式名N57D30Aの直6直噴3リッターディーゼルターボエンジンは、基本的に先代に積まれていたものと同じ仕様だ。新型に搭載するにあたって、若干のパワー&トルク性能向上(258ps&560Nm)と燃費改善(25%)が図られている。
800万円を切る最も安いエントリーグレード(792万円)がディーゼル搭載車、というのも今回のニュースだ。ただし、これはSEという言わば“客寄せ簡略グレード”で、スタンダードは821万円と、同装備のガソリン車35iより22万円も高くなる。
もっとも、人気グレード(になるはず)の35d Mスポーツ5人乗りが880万円と、先代のダイナミックスポーツパッケージに比べれば(タイヤ&ホイールサイズが19インチと1インチ小さくなったとはいうものの)、車両本体価格でみると20万円弱も安くなっている。もちろん、車両の進化分を勘定に入れれば、さらにお買い得感も増す。
ガソリンターボの35i系(799万円~)も、乗れば乗ったで捨てがたい乗り味をみせてくれることだろう。けれども、将来に渡って35d系がX5のベストバイであり続けることは間違いない。
ガソリン系の2グレード(35i、50i)ともに燃費改善は著しいが、ディーゼルには敵わない。さらに、走りの質感でディーゼルターボに勝ろうと思うと、必然的にお高い50i(1069万円~)を選ぶほかなくなってしまう。