電気自動車・EV/電気自動車・EV基礎知識

日本における充電スポットの普及に向けて(2ページ目)

電気自動車の短所である航続距離の短さをカバーする役割を持ち、ユーザーが充電切れを危惧せず、安心して運転するために必要不可欠なのが、充電インフラの普及です。以前、電気自動車の充電器について詳しくご説明させていただきましたが、実際にそれらの充電インフラはどのようにして普及されていくのでしょうか。

中島 徳至

執筆者:中島 徳至

電気自動車ガイド

充電インフラの見通し

ゾーン普及のための適当な充電インフラとして、200V単相による普通充電器が今後増加するだろうと私は考えています。低コストで導入することができ、設置に必要な環境が既に整っているためです。近年はオール電化が進み200V電源に対応している建物が多く、また100Vコンセントのみを使用している建物でも1990年以降に建築された建物であれば単相三線式という配電方式が採用されているため、新たに200V対応コンセントさえ設置すれば、100vと比較して倍速で電気自動車の充電を行うことができます。

家庭では通常の100Vコンセントを使用するか200Vコンセントを設置するかを選択することができ、またショッピングセンターや時間貸駐車場などにも多く200V充電器が設置されることでしょう。
(図)経済産業省undefinedEV・PHV情報プラットホームundefinedを参考に中島作成

(図)経済産業省 EV・PHV情報プラットホーム をもとに作成

実際すでに、そのようなインフラ普及のための具体的な取り組みとして、政府や大手カーメーカーもすでに動き始めています。

(図)一般社団法人 次世代自動車振興センターundefined補助金情報参考に中島作成

(図)一般社団法人 次世代自動車振興センター 補助金情報参考に中島作成

政府は、次世代自動車充電インフラ整備促進事業として1005億円の補助金を投じる動きを見せています。申請は2015年2月27日まで、工事などの実績報告書などの提出期限は、2015年10月31日まで(第3の事業については、2017年4月28日まで)とし、各自治体が自分たちのビジョン達成に向けた要件を満たし、公共性を有する場合、充電設備の設置に対する機器費、工事費の3分の2を補助します。(第1の事業) また、第1の事業には、当てはまらないけれども、事業共同住宅や月極駐車場等への充電設備などの事業に対しては2分の1の機器、工事費が補助されます。(第2~3の事業)

さらにこれを受けて2013年7月29日、三菱自動車・トヨタ自動車・日産自動車・ホンダ、計4社はプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)の充電インフラを協力して整備すると発表しました。政府の補助金に加えて4社も資金を投じるというのです。

チャデモ協議会によると、2014年1月10日現在、日本における急速充電器は3169台とまだまだ普及に向けて発展途上ですが、4社は今後、協力して資金を投じることで最少でも普通充電器を8000台、急速充電器を4000台置く考えを示しています。設置場所については、47都道府県の要望を集約した後で決めるとしています。このような動きが活発になることで、今後のEV充電インフラが整っていくのではないかと私は考えます。

このようにして、やがて数を増やした充電インフラは一般ユーザーにも使用されるようになり、利便性が増した電気自動車は普及していくのです。先ほどのラインの考え方のように、各地域の充電インフラのカバーエリアは段々と大きくなり、隣の地域のインフラとエリアが重なるようになり、最終的には各エリアがそれぞれ繋がっていきます。そのようにして充電インフラが普及していくことが極めて現実的だと私は考えます。これによって地域ごとに電気自動車のコミュニティーができ、そこには新ビジネスの可能性も秘められています。

以上から私は、実際に必要とされ、利便性を高めるための充電インフラの普及のために中速充電器に注目を集めています。

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます