電気自動車の短所である航続距離の短さをカバーする役割を持ち、ユーザーが充電切れを危惧せず、安心して運転するために必要不可欠なのが、充電スポット(以下充電インフラとする)の普及です。以前、電気自動車の充電器について詳しくご説明させていただきましたが、実際にそれらの充電インフラはどのようにして普及されていくのでしょうか。
私個人の意見としては、出力の50kwの急速充電はそこまで多く必要でないと考えますが、現状では、急速充電器の必要性を訴える議論が目立っています。普通充電、急速充電どちらが普及するにしろ、そのプロセスはガソリンスタンドのそれとは異なるものになるであろうと私は考えます。 充電インフラの普及には、私の持論でありますが、ラインとゾーンとよばれる二通りの考え方があります。今回は、まずそれらの考えについてお話しさせていただければと思います。
ラインの考え方
(図)ラインの考え方
簡単に言えば、ラインの考え方とは、電気自動車が長い距離を走れるようにするために、航続距離内に全国各地途切れることなく充電インフラを網の目のように設置するという考え方です。今日のガソリンスタンドはこのラインの考え方と同じ設置方法をとっています。言うまでもなく、短い時間の充電で長い距離の走行を可能にする急速充電器が必要となります。
ゾーンの考え方
(図)ゾーンの考え方
一方ゾーンの考え方とは、地域ごとに電気自動車が自由に移動できる区域が作られる考え方です。その際は急速充電ばかりでなく、一般的なコンセントによる普通充電器、出力やサイズの小さい中速型の充電器で対応できる場合が多いことが想定されます。私は、急速充電器の普及が着々と進む一方で、多額のコストが必要とされない、比較的簡易な充電インフラが同時に求められることとなると思います。
電気自動車が普及するまでかかる時間やインフラや車両の費用、使いやすさを考慮すると、従来のガソリンスタンドの形態であるラインの考え方だけではインフラ整備は進みません。行政や地域が管理する施設や、スーパーマーケットやショッピングモールを巻き込んだインフラの整備がこれから普及していくうえで重要な役割を担うことになるでしょう。