名物は、夏目漱石ゆかりの「洋風かきあげ」

名物の「洋風かきあげ」

名物の「洋風かきあげ」

決して大きくない間口、入口は左から右へと引く、引き戸です。入店する両サイドにテーブル席、右奥にカウンター席があります。こぢんまりした店内、どこかホッとする落ち着き、懐かしい空気を感じます。

この日は久しぶりに松栄亭といえば“コレ”、という名物料理と向き合うことにします。その料理とは「洋風かきあげ」(950円)です。ネーミングだけではちょっと想像が難しい料理ですが、店の内外に同店とこのメニューのゆかりが掲出されています。

初代・堀口岩吉が東大教授の専属料理人であったことは先に触れましたが、ある日その教授宅に教え子である夏目漱石が訪問します。その際、“何かめずらしいものを”という即席オーダーに応えた一品がこちらの「洋風かきあげ」です。

冷蔵庫の有りものを、小麦粉でつないでフライにしたという同料理。夏目漱石にも大好評だったと伝えられています。その後、初代が店を開業する際には「洋風かきあげ」の名で正式にメニュー化。以後100年超、創業当時のレシピを守り、今なお提供し続けています。

半分にカットとした「洋風かきあげ」

半分にカットとした「洋風かきあげ」

出てきたその一品は、こんがりとした茶色。厚みがあり、結構なボリューム感です。フォークで半分に切ってみると、外の硬さとは違い、中は具材がふんわりまとまっています。材料は、豚肉、玉ねぎ、卵、つなぎに小麦粉を使用。自家製ラードでじっくりと揚げられています。

洋風かきあげは、塩味がついていますが、席に置かれているウスターソースをかけて食べるのもこれまた“THE洋食”といった感じでいいですね。素朴な一品ですが、わたし自身これまで似た料理に出会ったことがない……まさに比類なき存在でしょうか。

この日は「洋風かきあげ」に、「ライスとスープのセット」(400円)を付けて、スイスイと完食です。洋風かきあげは、揚げるのに15分前後かかるので、オーダー時に“提供に時間がかかる”旨、伝えられます。あまりランチの時間が取れない際はご注意ください。

選べるランチメニュー、グランドメニューからのオーダーも可

ランチメニューの「ハンバーグ・アジフライ」

ランチメニューの「ハンバーグ・アジフライ」

同店には、14時までのランチ専用メニューが数種類あります。別日に1人で伺った際には6種類が掲示されていました。この日は「ハンバーグ・アジフライ」(980円)をチョイス。ランチメニューには、ライスとスープが付いています。奇をてらわないハンバーグ、サクサクの揚げたてが嬉しいアジフライ……タルタルソースも含めて、安心感ある内容ですね。

同店の「オムライス」

同店の「オムライス」

ランチメニューのほか、同店ではグランドメニューのオーダーも可能です。「オムライス」(850円)、「デミグラスオムライス」(1100円)、「カレーライス」(850円)、「ハヤシライス」(1100円)、「ロールキャベツ」(1100円)、「海老フライ」(1150円)など、洋食店の定番メニューが、手軽な価格で提供されています。

わたしの訪問が12時前だったこともあり、その後続々と客が入店してきます。近隣の会社員と思われる方々は、慣れた感じでランチメニューから注文を。遠方からと思われる高齢の男性2人組は、“ここに来たら、やっぱりアレを食べないとな”と話しながら、洋風かきあげを頼んでいます。かの文豪・夏目漱石が愛した一品があることで、日本中から人を呼べるのでしょう。長い歴史を所持する老舗店ならではですね。

店頭のプレートには創業者の名前が

店頭のプレートには創業者の名前が

夏目漱石とのつながりがなかったら、この世に生まれなかったかも知れない洋風かきあげ……そんな名物がある洋食店で、ランチはいかがでしょうか?

■松栄亭
・住所:東京都千代田区神田淡路町2-8
・TEL:03-3251-5511
・営業時間:11:00~14:30、17:00~19:30 (土曜日は11:00~14:30)
・定休日:日曜・祝日
・地図:Yahoo! 地図情報

※上記すべて取材時(2014年1月)の情報・価格です。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。