銀行強盗から金ピカ生活へ!成金夫婦物語
『おいしい生活』(2000年度作品)
銀行の隣の空き家を借りて、銀行強盗を企んだ夫婦が、カモフラージュでオープンしたクッキー屋が大成功。成り上がってお金持ちに~というウディ・アレン監督作。狭いアパートに住んでいたのに、金持ちになった途端、奥さん大ハリキリ! 高級アパートの内装はケバく、金ピカになっているのがおかしい。リビングに大きなハープとか置いてあるんですよ。弾けないのにハープ! 夫が「なんだコレは!」と怒るのがまたおかしくて。
金持ちになっても変わらない夫とは正反対に、妻がノリノリでド派手な成金おばさんになっていく様が楽しいです。ただ周囲に金目当ての人しか集まらないという皮肉のスパイスも効いており、銀行強盗で一攫千金を夢見たけど、元の狭いアパートでの生活が恋しくなるところが、普通の成り上がり映画とは違います。ゴールの見え方が違うのですね。
成り上がりはみんなお金にしがみつくけど、金持ちになったからといって幸福になるわけじゃない。ありがちメッセージとはいえ、そこはウディ・アレンの本音かもしれません。冷静さを欠いたら、お金の価値観もわからなくなってしまう。失脚するまで浮かれっぱなしでいるか、軌道修正するかが運命の分かれ道なのかも?
スティーブン・スピルバーグのドリームワークス製作だからか、アレン映画の中ではわかりやすい仕上がりの成り上がりコメディです。
監督: ウディ・アレン
出演: ウディ・アレン、トレイシー・ウルマン、ヒュー・グラント、エレイン・メイ、 トニー・ダロウ、ジョン・ロヴィッツ、マイケル・ラパポート、エレイン・ストリッチほか
※成り上がり映画の楽しさは、ドン底から成功者へステップアップするプロセスですね。ウディ・アレンの映画のように、棚からぼた餅みたいな成り上がりもありますが、一芸に秀ででるとか、天才とか、ど根性とか、いずれも全員、心が強い! ほかにも『スカーフェイス』『エリン・ブロコビッチ』『ソーシャル・ネットワーク』など成り上がり映画はありますが、アメリカ映画が圧倒的というのが国民性を表している?
とにかく成り上がり映画はやる気と元気をくれます。ちょっと凹んだときに見ると「よし!」と気分がアップすること必至です。