本当にスマートフォンの影響で苦戦している?
日本では、スマートフォンのゲームと3DSが両方同時にヒットしています
まず、任天堂が最も苦しんでいるのは据え置き機のWii Uの不振であり、本来スマートフォンと競合しやすいはずの携帯機である3DSは目標に未達ながらも確実にプラットフォームとして普及しています。
それこそ、携帯電話ではモバゲーやGREEなどのソーシャルゲームが台頭し、スマートフォンが普及し始めると「パズル&ドラゴンズ(以下パズドラ)」が2,000万ダウンロードを達成して空前の大ヒットを飛ばしている日本でこそ、3DSは絶好調なのです。
また、スマートフォンの台頭によってゲーム専用機の立場が危うくなっているというのであれば、ライバルのPS4やXboxOneが勢いをつけていることの説明がつきません。
逆に例えば、スマートフォンが無ければWii Uは売れたでしょうか? 多くのゲームユーザーに、スマートフォンを持っていなかったならWii Uを購入したかと聞いて、イエスと帰ってくるでしょうか? おそらく、それは難しいのではないでしょうか。
そこには、スマートフォンとの競合以上に、根深く、厄介な問題が存在します。
任天堂のリソース不足
ピクミン3など、発表されていたタイトルが次々と延期していきました
ゲームソフトに至っては延期につぐ延期、ピクミン3、Wii Fit U、Wii Party Uなど次々延期し、2013年前半はゲームソフトが数えるほどしか発売されない異常な状態となっていました。夏以降に自社の有力ソフトを投下するも、サードパーティの積極的なソフト供給が見られないこともあり、全体としては発売タイトル数は寂しい状況になっていました。
参考までに、日本における2013年のWii Uのパッケージソフトの発売タイトル数についてお話すると、2013年1月から6月までに発売されたタイトルはたったの9本、うち任天堂は『ゲーム&ワリオ』の1本だけ。この時点でWii Uは勢いを完全に失っていました。その後年末商戦に向けてタイトルが増えていきますが、最終的な数は32タイトル。平均して月に3本弱。Wiiの同時期が約100タイトル、初期において非常に苦戦したPS3でも約50タイトルというと、Wii Uの苦しい状況が分かりやすいのではないでしょうか。
任天堂はこれまでもゲームタイトルの発売延期をすることがありましたが、Wii Uのリリース戦略は、あまりにガタガタです。結局の所、2013年におけるWii Uは、安定してソフトが発売されず、勢いを失いました。任天堂が後半発売したタイトルは完成度こそ高いものの、残念ながら勢いが失われたWii Uを蘇らせる程のインパクトはありませんでした。
ハードの高性能化、多機能化が進んでいく中で、任天堂は思うようにWii Uのプラットフォームを運営できていないのです。