新ジャンルを切り拓く意欲作
愛らしいフロントマスクに、オレンジやピンクのツートンルーフカラーを設定するなど、男性だけでなく女子受けしそうなスズキ・ハスラーが登場した。新ジャンル「軽クロスオーバー」を謳うスズキ・ハスラーだが、かつてあったホンダ・Zはドア枚数こそ3枚だがSUV的なクロスオーバーのハシリといえるし、遊び心ある外観はダイハツ・ネイキッド、クラスは違うが日産ラシーン、トヨタ・FJクルーザーなど乗用車派生型のクロスオーバーはいくつもある。
しかしFJクルーザーをのぞくと、いまは「廃番」になったモデルが多く、絶好調という受注状況を聞いても若干の不安を抱きながら乗り込んだ。
見た目を裏切るハードな乗り味
愛嬌のある顔つきやボディカラーに惹かれてオーダーする女子もいそうだが、乗ってみると軽としては大径となる165/60R15サイズのタイヤを履いていることを実感させられる。155/65R14タイヤを履くワゴンRと比べると、路面の凹凸を踏んだときのショックは少し大きめだ。それでもストロークは大きめで、決して不快ではない。ラフロードの走破性もしっかり見据えているだけに、街乗り中心のヤワな足ではないのだ。
そう、可愛らしい見た目よりも本物志向の乗り味で、エンジンを思い切り回さなければ静粛性も十分な高さを確保している。
運転席からの見晴らしはやや高めだが、2WDで180mmという高めの最低地上高を確保しているのに、コーナリング時でもグラリと大きくボディが傾いてしまうことはない。フロントスタビライザーを全車に装備しているだけあって、安定感のある走りはオンロードの一般道でも十分に実感できるのも美点だ。
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