理学療法士/理学療法士試験の問題傾向と対策

理学療法士(PT)試験…整形外科疾患の問題傾向

理学療法士試験、共通問題の整形外科学と専門問題の整形外科疾患の違いは、各整形外科疾患を受傷、もしくは発症した方に現場でどのような評価を行い、どのような理学療法を行うのかといったことをより深く問う点にあります。

野田 卓也

執筆者:野田 卓也

理学療法士試験ガイド

整形外科疾患の問題傾向

整形外科疾患の出題傾向ですが、個々の疾患ベースでは、変形性膝関節症、変形性股関節症、関節リウマチ、肩関節周囲炎や腱板断裂などの肩関節の障害。加えて、椎間板ヘルニア、すべり症などの腰痛症が多い傾向にあります。それ以外では、転倒による骨折、スポーツによる障害、熱傷、さまざまな要素を起因とする末梢神経障害。昨年は二分脊椎に関する問題もみられています。

これらの疾患の病態生理。さらに各評価法や重症度分類、理学療法内容、歩行やADLへの影響、杖や装具の処方、環境設定などが関連付けられて出題されます。また、他の教科同様、X線やMRIの画像読影の問題は毎年のように出題されていますので入念な復習が必要です。

整形外科学の過去問題と解答

過去問題 第52回(2017年)

44 歳の女性。関節リウマチ。エックス線写真を図に示す。身の回りのことはできるが、仕事は行えない。この患者のSteinbrockerの分類はどれか。
関節リウマチ

エックス線写真と問題文からリウマチの進行状態と生活への影響を推察する問題です。

  1. ステージ2、クラス2
  2. ステージ3、クラス3
  3. ステージ3、クラス4
  4. ステージ4、クラス3
  5. ステージ4、クラス4

この問題の答えは【4】になります。なお、Steinbrockerの分類は以下のとおりになります。

関節破壊の程度
  • ステージ1(初期)X線検査で骨・軟骨の破壊がない
  • ステージ2(中等期)軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない
  • ステージ3(高度進行期)骨や軟骨に破壊が生じた状態
  • ステージ4(末期)関節が破壊され、可動性が失われた状態
関節破壊進行に伴う日常生活の障害度
  • クラス1(ほぼ正常)健康な人と同様に生活や仕事ができる
  • クラス2(軽度障害)少々の障害はあるが普通の生活ができる
  • クラス3(制限)身の回りのことを何とかできるが、外出時などには介助が必要
  • クラス4(不能)ほとんど寝たきり、もしくは車いす生活であり、身辺のことを自分だけではできない
以上、エックス線写真と問題情報の結果から4が正答となります。

過去問題 第52回(2017年)

35歳の女性。橈骨遠位端骨折後に右上肢にCRPS(複合性局所痛症候群)を生じた。この患者にみられる所見に合致しないのはどれか。
  1. 浮 腫
  2. 痛覚鈍麻
  3. 発汗異常
  4. アロディニア
  5. 皮膚温の変化

この問題の答えは【2】になります。CRPSでは感覚過敏やアロディニア、皮膚の色の変化(血流異常)、皮膚温の変化、発汗異常、浮腫、骨や筋の萎縮などがみられます。選択肢2の感覚鈍麻はCRPSの症状ではみられないため誤りとなります。

次のページでも、引き続き整形外科疾患の過去問を出題しています。

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