ケース1:相続人が子1人
将来の相続人を確認したうえで、相続人が子1人であれば大きなトラブルはないと思います。遺産分割の問題等はありませんが、相続税がかかるかの見込みを事前に把握しておくことや、相続後の名義変更などの手続きのことを考え、生前から親子間で相続財産の把握、管理場所の確認等をしておくとよいでしょう。ケース2:子のいない配偶者
子がいない場合の相続では、相続人が配偶者と被相続人の親族になります。この場合は遺言がお勧めです。一緒に財産を築き上げた配偶者に多く相続させたい、また逆に配偶者に相続されたものが将来配偶者の親族に相続されることのないように本家に財産を遺贈するなど。遺言が無いと遺産分割協議になるため、遺産分割でもめてしまうことも少なくありません。ケース3:亡くなった人が未婚
未婚の人が亡くなった場合、相続人は父母か兄弟姉妹になります。高齢ともなると相続人が先に亡くなっている場合もあり、甥姪が相続人になることも。そうなると相続人も多くなり、遺産分割協議が長期間になることがあります。中には相続額の争いが発生してしまい、その相続を機にこれまで良好な関係にあった親族関係が崩壊してしまうことも。この場合にも遺言が有効です。親族の中には交流の多かった人や特にお世話になった人がいてその人に相続させたいといったこともあります。兄弟姉妹には遺留分がありませんのでその後の遺産分割争いの防止になります。自分の相続をきっかけに親族にトラブルが無いようにしましょう。
ケース4:自分の相続の際に相続人がいない
自分の相続時に相続人がいない場合、財産は国のものになりますが、いきなり国に帰属するわけではありません。まずは家庭裁判所を通じて「相続人がいないか」「債権者がいないか」「縁故者がいないか」などを11か月間にわたって公示します。その間に相続できる人が現れれば財産はその人のものになります。対策としては遺言ももちろんのこと、養子縁組も考えられます。相続人がいない場合は相続税の基礎控除が少なく、また相続税の2割加算も影響大です。養子縁組をした場合は人数に応じて基礎控除が増え、また2割加算も回避できます。自分が「おひとりさま」ということで、自分の相続で親族に面倒をかけることは避けたいところ。また逆に、自分が相続人になりうる親族が「おひとりさま」である場合も、将来のトラブルにならないように、元気なうちから交流を持つようにするとよいと思います。
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