子育て事情/子育て事情関連情報

「産後クライシス」は夫婦を最強の「チーム」にする(2ページ目)

産後クライシスのメカニズムと意味を説く「間違いだらけの産後クライシス論争」第4弾。ある研究によると、25年以上の結婚歴をもつ人々を対象とした調査の結果、彼らに共通する要素は、夫婦の間に問題がないことではなく、むしろさまざまな葛藤、あるいは不一致に遭遇しながらも、夫婦がジレンマを乗り越える希望を失わず、ある種の楽観主義を持ち続けていたことであった

執筆者:おおた としまさ

妻を「母親」としかみられなくなると産後クライシスはこじれる

私が産後クライシスに苦しむ父親たちからの相談を受けた経験から、ひとついえることは、実は、産後クライシスをこじらせてしまう父親に共通しているのは、妻を「母親」としか見られなくなっていることなのだ。「育児や家事を、やってもやっても認めてもらえない」と嘆く夫は、「母親としての妻を、父親としてサポートする」という意識になってしまっていることが多いのだ。父親としての役割に意識を向けすぎなのだ。まじめすぎるのだ。

大切なのは、夫婦が夫婦であることを「当たり前」だと思わず、お互いに、男女として、また1人の人間として、愛し敬い続ける意識を持つことだ。それが結婚の基本。基本が崩れていれば愛情を感じなくなるのは当然だと考えられる。

大変残念だが、あの本に書かれていることを形だけやっても、多分、産後クライシスに陥っている夫婦の状態はそれほど変わらない。回避できない。そして「いったいどこまでやればいいんだ……」という底なし沼にはまる。

たとえば風邪をひいたときに発熱するのには意味がある。体温を高くして、抵抗力を高めるのだ。しかし発熱という現象だけを捉え、それを悪いものだと思い込み、対症療法的に解熱剤を飲むようなことをしてしまうと、本来的にはよくない。また最初から抗生物質に頼ってしまうと免疫がつくられない。

同様に、産後クライシスを回避するために、たとえば夫が、妻を、腫れ物に触るような扱いをして、その場しのぎ的にご機嫌をとるというのも対症療法的だ。いつまでも効果は持続しない。

夫が無理をして、「都合のいい夫」を演じていれば、たしかに産後クライシスという「発熱」は一時的にはおさまるだろう。しかし、それでは免疫がつくられない。問題を先送りしているだけだ。のちのち、かなりの確率で「熱」がぶり返すことになるだろう。

子どもの反抗期・独立、妻の職場復帰、夫の転職、セックスレス、病気やケガ、退職など、再び家族システムが揺らぐときに……。 
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