わずか997ccでも驚くほど走る
フィエスタの魅力は、コンパクトながらダイナミックなエクステリアデザインなど数多いが、まず気になるのはわずか997ccの「1.0L EcoBoost」エンジンの搭載だろう。直列3気筒DOHC直噴イータークーラー付ターボは、100ps/6000rpm、170Nm/1400-4000rpmというパワー/トルクで、フォーカスと同様に6速DCTでゲトラグフォード製の「PowerShift」が組み合わされる。
3気筒で1.0Lとなると、パワーが気になるが、中・低速域をカバーするフラットトルクにより芦ノ湖スカイラインの急な上り坂でもまったく苦にすることなくスイスイと上っていく。
しかも、アクセルをそれほど踏み込まなくても容易にスピードが乗るからストップ&ゴーの多い街中でもストレスを感じることはない。むしろ6速DCTは、アクセルを踏んだ際の「飛び出し感」が強く、予想よりも飛び出してしまう感覚を抱いたほど。
しかし、フォーカスと同様にこの6速DCTには変速フィールの学習機能が備わっているそうだからオーナーの踏み具合にマッチする変速になっていくようだ。実際にフォーカスでは走行距離の短い固体でこうした「飛び出し感」があったが、ある程度距離が延びたモデルに乗ると、ほとんどこうしたネガは感じられなかったので、心配するほどではないだろう。
また、気筒数が減ると気になるのが振動だが、フライホイールとクランクプーリーをあえて「アンバランス」にすることで、重量増になるバランスシャフトを装備しなくてもエンジン振動を抑える工夫がされているという。
実際に、よほどエンジンを回さない限り、音も振動も3気筒とは思えないほど抑制されているから、パワー面と同様に懸念はすぐに払拭された。
走りの面で最大の美点は、ハンドリングだ。意のままに操れるとはまさにこのことで、急なコーナーが連続する山道でもまったく不安はなく、確かな操縦安定性だけでなく、ステアリングを右に左に切るのをとことん楽しめる。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リヤがツイストビームのトレーリングアームで、スタビライザーが備わらないが、アームそのものにスタビライザー効果があり、しっかりとしたハンドリングを実現しているのもフォードらしい。
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