お正月太り・冬太りは医学的に本当?
お正月はつい食べ過ぎて太りやすい季節。でもお正月太りを解消するのはそんなに難しいことではありません
年末年始は久しぶりに会う家族や友達の顔を見ながらごちそうを食べる楽しい季節。でも楽しい時間が終わって、久し振りに体重計に乗り、「知らないうちに3kgも太っていた!」という人もいるのではないでしょうか? お正月に太ってしまう原因は、大きくわけて2つ。年末年始でご馳走を食べる機会が増えること、身体を動かす機会が減ることがあげられます。
とはいうものの「どうせ毎年のことだから……」と諦めていませんか?
しかし、諦める必要はありません。実は冬はダイエットに最適な季節。冬太り解消はそんなに難しいことではないのです。
冬はやせやすい? ダイエットに向いている季節と言える理由
生きていくためにはエネルギーが必要です。身体がエネルギーを使うのは運動するときだけではありません。実は、身体は意識していないところで、エネルギーを使っています。食事を食べた後、消化器が働くためのエネルギー(「特異動的作用(食事誘発性熱産生)」といいます)や、生命を維持するために眠っている間も動いている心臓や呼吸器などが使ったり、体温を一定に保つためのエネルギーである「基礎代謝」です。特異動的作用と基礎代謝は無意識に消費しているエネルギーであるため、気づきにくいのですが、実は、基礎代謝がエネルギー消費量の60%以上を占めているとも言われています。
体温は季節に関係なく、年間を通して36度前後を保っています。エネルギーを作って体温を保つのは筋肉の仕事です。寒さで身体が震えるなどということは誰でも経験していると思いますが、これは身体が震えることで筋肉を動かしエネルギーを作り、体温を上げようとしているのです。このように、筋肉が活動することで体温を一定に保っているので、寒さが厳しい冬の季節には、よく運動したり、力仕事に従事していて筋肉量の多い人は、筋肉がエネルギー生産を増やすことで、体温を保っています。一方、普段からあまり動かない筋肉量の少ない人は、少しの筋肉がいくらがんばっても体温を上げるのに必要なだけエネルギーを作り出すことはできません。そのため、体脂肪を蓄えて体温を保とうとします。これが冬太りの原因となるのです。
このように、冬は基礎代謝をあげて体温を保つ必要があります。そのため、基礎代謝が夏に低く、冬に高くなるという季節変動があることは古くから研究者の間で知られていました。1950年代以前は、冷暖房が整っていなかったため季節変動は10%以上あったとされていますが、室内環境が整った近年でも5~10%の季節変動があるといわれています。
面白いことに、気温の季節変動が大きい積雪のある地域では、積雪のない地域よりも室内環境がよいため、季節変動が小さいといわれています。それでも、やはり夏よりも基礎代謝が高い冬のほうが、エネルギーを楽に使うことができます。だから、ダイエットするなら冬がオススメなのです。
効果的な冬太り解消法は? ポイントは筋肉強化と食事の工夫
冬太りを解消するためには、基礎代謝を上げること。すなわち、エネルギーを生産する「筋肉」を上手に使う必要があります。そのためには、ストレッチなどの筋肉を使う運動をすることが有効です。さらに、冬太りを予防するには、夏のうちから筋肉をつけておくことも重要だといえます。また、食事の面では、脂質の摂取が多い白人では季節による基礎代謝の変動が小さいことがわかっています。このことから糖質の摂取量が基礎代謝に大きく影響を与えているといわれています。日本人は糖質の摂取量が多い人種ですので、糖質の摂取量を減らすこともダイエットに効果があります。ただし、糖質と聞くと、チョコレートやクッキーなどの甘い物を食べなければよいと考えがちですが、そうではありません。ご飯は麺、パンなどの炭水化物と呼ばれる食品は「でんぷん」という糖質が多く含まれています。ご飯や麺、パンなどは最初から小盛にするか、外食時など小盛の対応が難しい時には1口残すようにしましょう。
短期で体重を落とすのはNG!「焦らずじっくり」がダイエット成功のコツ
最後に1つ重要なポイントを。ダイエットをする際は、短期間にたくさん減るほうがやりがいはあると思います。しかし、身体は短期間に体重が激減すると「死んでしまうのでは?」と無意識に心配をします。脳では「ダイエット中」と分かっていても、身体には伝わらないのです。ですから、身体が「体重が減った」ことに気づかないくらいゆっくり体重を落としていく必要があります。ゆっくり焦らず、じっくり行うほうが最終的にはキレイで効果的なダイエットが可能です。仮に3kgの減量が目標であるならば、1ヶ月に1kg程度を目安としても3ヶ月がんばれば目標体重に到達します。今からはじめれば、春には去年買ったお気に入りのスカートやズボンが穿けます。焦らず、じっくりダイエットしていきましょう。