医療情報・ニュース/医療ニュース

夏だけではない!冬も注意が必要な脱水症症状と予防法

体の中の水分や塩分が不足しておきる脱水症。汗をかきやすく熱中症リスクの高い夏の症状と思われがちですが、寒さで水分摂取量が減り、低温・低湿度で皮膚が乾燥しやすい冬も注意が必要です。ノロウイルスやインフルエンザによる脱水症リスクもあります。危険因子と簡単にできる予防法・対策法を知っておきましょう。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

脱水症とは

人の体は水分でできていると言っても過言ではありません。体内の60~70%は体液と呼ばれる水分と塩分です。この体液が体内で不足した状態を「脱水」と呼び、脱水で体に様々な症状が出る状態を「脱水症」と呼びます。

脱水症の症状

脱水症の症状は、のどの渇き、ぼんやりする、食欲不振、皮膚の紅潮、イライラする、体温上昇、疲労困憊、尿量の減少と濃縮、頭痛、熱にうだる感じなどです。

重度の脱水では、身体動揺、けいれんが起こり、血液が濃くなることで、血の塊である血栓ができやすくなり、脳の血管が閉塞する脳梗塞、心臓への栄養血管が閉塞する心筋梗塞、腎臓への血管が閉塞したり、血液量の低下で腎臓の機能が低下する腎不全など、大きな合併症を起こします。そのため、脱水の予防が大切になります。「過信は禁物! 熱中症を招く「かくれ脱水」とは?」もあわせてご覧ください。

夏だけではない? 冬の脱水症の危険因子

冬

冬でも注意が必要な脱水症

脱水は、汗をかいて水分や塩分が失われる夏場に多いと思われがちですが、冬でも注意が必要です。特に、冬は水分摂取量自体が減りがち。冬の脱水症の危険因子を紹介します。



■体内水分量が違う子どもと高齢者
体内の水分量は、子どもで約70%、大人で約60%、お年寄りで約50~55%です。つまり、子どもは水分量が多く、それだけ水分を必要としているために、水分を取らないと脱水になりやすいといえます。一方、お年寄りの場合は体内の水分量が少ないために、大人よりも少しの水分が失われることで、すぐに脱水を起こしやすくなっています。

対策法:子どもとお年寄りでは、常に水分を取れるようにしておきましょう。特に、尿の回数や量が少ない時には、体内水分量が減っていますので、水分を取るようにしましょう。ちょっとしたノドを乾きを覚えた時点で、我慢せずに水分摂取することが大切です。できれば、身近にすぐに取れるように水分を用意しておきたいものです。

■低温・低湿度の冬の気候
低温、低湿度。空気が冷たく、乾いています。空気は乾燥すると、皮膚からの失なわれる水分量が増えます。冬は肌が乾燥するものですが、さらにエアコンを使用することで乾いた暖かい空気が出て、より乾燥します。

対策法:加湿器を使いましょう。ただし、壁や窓の近くでの加湿器は結露を発生し、カビや細菌が繁殖してしまいますので、40~60%程度の湿度に保つのが重要です。エアコンよりはガスファンヒーター、石油ストーブが良いのですが、換気を必要とし、換気すると、外気の乾いた空気になってしまいます。

■つい着込んでしまう衣服
外の寒さでどうしても厚着になる衣服です。そのまま室内で過ごせば、体温の上昇、夏ほどでは無くても汗をかいていることがあります。冬の汗はあまり感じないのですが、水分、塩分としては失われています。

対策法:適切な衣服。室内で寒さを感じないなら、上着を脱ぐようにしましょう。

■長くなりがちな入浴時間
どうしても長くなりがちの入浴。入浴は皮膚の水分を潤いますが、入浴後は体温の上昇があり、下げるために、汗や呼吸で水分が失われます。

対策法:入浴後には、水分補給をしましょう。コップ1杯でもいいですから、水分補給をしておきましょう。

■睡眠
睡眠中では、感じない中で、水分が失われています。汗や息の中には水分が含まれているので、寝ている間に水分が失われるわけです。約500mlの水分が失われると言われています。

対策法:寝る前に、水分補給しておきましょう。あまり飲みすぎると、夜間に尿に出しに起きることになり、睡眠不足になりますから、500ml程度の水分にしておきましょう。

水分

なるべく食後でも水分を取っておきたいものです

夏でも冬でも、こまめな水分補給は大切です。食後には必ず水分を摂るようにしましょう。

 
次のページでは、冬に注意すべき病気での脱水について説明します。
  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます