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農薬の種類と中毒症状…マラチオン、パラコートなど

農作物を害虫から守る手段として使われる農薬。食品の安全性から無農薬野菜などもありますが、多くの農作物は収穫量や質の維持のために、農薬が使われています。残留農薬や事故による農薬混入、誤飲の場合に備え、農薬の危険性も正しい知っておくことが大切です。2013年に冷凍食品から検出され問題なった農薬・マラチオンなど、種類別の中毒症状、危険性、対処法を解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

食品の安全性は大丈夫? 農薬とは

農薬

農業には農薬は必要になります

現在の農業は、食糧問題を考えると、すべて、自然農法、無農薬栽培では、需要に対して十分な供給を行うことは難しいと言えます。人が生活していく上で、食糧の確保は非常に大切で、安全な生活環境を維持し、安全で安心な食材が求められます。自然農法、無農薬栽培は、一方で、細菌による食中毒の可能性、害虫による食料の確保ができない可能性があります。一方、残留農薬による健康被害の可能性もあることから、農薬の管理については法によって規制されています。現在、農薬を規制する法律として、農薬取締法、毒物及び劇物取締法、食品衛生法、農薬を使用する時に関連する法律として、農業基本法、食糧管理法、野菜生産出荷安定法、農業改良助長法、植物防疫法があります。
農薬はいろいろと開発されており、理想は、無毒性(あるいは低毒性)で、効果が高い農薬が望ましいです。農薬には、殺菌剤、殺虫剤、除草剤などがあり、さらに、生長促進剤、生長抑制薬、落果防止剤などがあります。

日本では使用禁止の農薬も……農薬の種類

製造された農薬、輸入した農薬を販売するには、農林水産大臣の登録が必要です。登録されている農薬も、パラチオン、エンドリンなどの強毒性の農薬は日本では使用が禁止され、登録から消えていきます。

農薬の使用目的、効果としては、以下のものがあります。
  • 殺虫剤(昆虫)
  • 殺ダニ剤(ダニ)
  • 殺線虫剤
  • 殺軟体動物剤(ナメクジやカタツムリ)
  • 殺鼠剤(ネズミ)
  • 忌避剤(臭いなどで近づけない)
  • 誘引剤(臭いなどでおびき寄せる)
  • 殺菌剤(細菌やカビ)
  • 殺虫殺菌剤
  • 除草剤(雑草)
  • 植物成長調節剤
  • 展着剤(植物や病害虫に農薬が付着するように)
  • その他(殺鳥剤、不妊剤)
主な農薬の成分は次の通りです。
  • 有機ハロゲン化合物…有機塩素系化合物、有機フッ素系化合物、その他
  • 有機リン化合物…ジチオ型化合物、チオノ型化合物、チオール型化合物、ホスフェイト化合物、アミデート型化合物
  • 有機イオウ化合物…メルカプタン類、ジスルフィド類、スルホン酸およびスルホン酸エステル、チオカルバメート、その他
  • 有機窒素化合物…カルバメート系化合物、尿素系化合物、酸アミド系化合物、含窒素ヘトロ環化合物、ニトロ化合物
  • 銅系化合物…無機銅剤、有機銅剤
  • 天然物…ニコチノイド、ロテノイド、ピレスロイド、
  • その他…抗生物質系化合物、有機錫、有機ヒ素剤 他

農薬の誤飲や誤って触れた時の対処法・応急処置法

まずは何の農薬か必ず確認しましょう

■農薬の誤飲・口から入った場合
  • すぐに吐き出す(コップ1杯の水を飲ませた後に、指などでノドを奥を刺激)
  • 胃の内容物が無くなるまで吐かせる
  • 活性炭、アドソルビンなどの吸着剤を飲ませる
【注意!】ただし、酸性、アルカリ性が強いもの、粘膜を傷害しやすいものは吐かせてはいけません。

■農薬が触れた場合
  • 大量の水と石けんですぐに15分以上かけて、充分に洗い流す
  • 農薬のついた衣服は替える(その後、皮膚を洗う)
■農薬を誤って吸い込んだ場合
  • すぐに新鮮な空気にある所に移動する
  • 頭を横向きにし、よだれや嘔吐物が気管に入らないようにする
応急処置をしながら、農薬を持って、医療機関を受診してください。

それぞれの農薬の対処方法は、公益財団法人 日本中毒情報センターに問い合わせてましょう。

次ページでは、現在問題になっている農薬・マラチオンについて説明します。
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