期待を裏切らない走り
3種類のパワートレーンを用意する3代目アクセラだが、どのモデルに乗ってもマツダらしい軽快なフットワークと路面をしなやかに捉える走りを味わえるのが魅力だ。ハイブリッド仕様であっても人工的なアクセルやブレーキタッチではなく、踏んだ感覚と加速感、減速感がピッタリと一致するし、ステアリングを切れば思うように素直に曲がっていく。
こうした運転のしやすい走りをベースとしながら、111ps/144Nmと最も数値的に控えめな1.5Lのガソリンでも、いやこの1.5Lこそが軽快に走るから驚かされる。
もちろん絶対的な速さは2.0Lには及ばないが、エンジンは軽やかに吹け上がり、中・低速域のトルクも不足はないからMTで操っても楽しめるほどで、日本の高速道路や山道なら力不足を抱くことはほとんどないはずだ。
個人的には2.0Lガソリンの余力のある走りや、低燃費だけでなく静粛性の高いハイブリッドよりも1.5Lガソリンに惹かれるし、プロトタイプをクローズドコースで走らせたディーゼルに負けないほどの感銘を受けた。
個性ならディーゼル!
最近の欧州Cセグメント車は、価格を下げてきているだけではなく、走りや安全など何かしらの強烈な個性を備えているのが特徴だ。ゴルフなら高性能なGTIでなくても、TSIハイラインで強烈な超高速巡航が可能だし、世界初のサイクル検知を含む安全装備の最先端を走るV40、低くスポーティに生まれ変わったAクラスなど、いくらでも例を挙げられる。
先代までのアクセラであれば、個性という点では物足りなさを感じたかもしれないが、3代目には先述した4.0LのV8並みという圧倒的なトルクを誇るディーゼルがある。
このディーゼルは、14.0という驚異の低圧縮比により欧州のディーゼル車のように高価なN0x後処理装置なしでクリーンディーゼル化を実現しているから、コストを抑制できる。ユーザーにとってはより安く、低燃費と分厚いトルク、そして軽油で済むというメリットを享受できるわけだ。
しかも、ひと度乗ればグイグイと速度を乗せていく走りと、ディーゼルとしては高回転まで回る方だから急な登り勾配など、シーンを問わず水を得た魚のようにスイスイと走ってくれる。もう、ディーゼルスポーツと呼びたくなる走りっぷりはほかにはない魅力といえる。
次ページは、マツダ・アクセラの魅力について