ついに始まる電気自動車のF1
2014年はモータースポーツに新たな歴史の1ページが刻まれる年になる。かねてから計画のあった電気自動車のF1とも言えるフォーミュラカーレース「フォーミュラE」がいよいよ2014年9月から始まるのだ。Electric(電気の)の頭文字を取って「フォーミュラE(イー)」とは何とも分かりやすいネーミングだ。しかも、F1など世界選手権レースと同じくFIA(国際自動車連盟)が統括する選手権ということもあり、電気自動車が注目を集める時代とあいまって大いに注目を集めそうだ。
フォーミュラEのマシン 【写真提供:Formula E Holdings】
世界各国の都市部、市街地で開催
「フォーミュラE」はこれまでの内燃機関のレースと異なり、エンジン音がしないため、モーター音とタイヤのロードノイズ、スキール音のみの非常に静かな走行音となる。そのため、既存の常設サーキットでの開催ではなく、都市部の公道などを使った市街地レースとして開催されるのが特徴だ。初年度は2014年9月の中国・北京で開幕し、2015年6月の英国・ロンドンで閉幕するまで、世界9カ国で10戦が開催予定となっている。ロサンゼルス市内での開催も決定!
【写真提供:Formula E Holdings】
Rd1 中国・北京(14年9月13日)
Rd2 マレーシア・プトラジャヤ(14年10月18日)
Rd3 ブラジル・リオデジャネイロ(14年11月15日)
Rd4 ウルグアイ・プンタデルエステ(14年12月13日)
Rd5 アルゼンチン・ブエノスアイレス(15年1月10日)
Rd6 アメリカ・ロサンゼルス(15年2月14日)
Rd7 アメリカ・マイアミ(15年3月14日)
Rd8 モナコ・モンテカルロ(15年5月9日)
Rd9 ドイツ・ベルリン(15年5月30日)
Rd10 イギリス・ロンドン(15年6月27日)
「フォーミュラE」は電気自動車の普及を促進する事を大きな目的と位置づけており、都市部での開催と世界各国に向けたテレビ放映は強烈なインパクトを残す事になるだろう。F1など騒音が問題視されるレースの市街地開催はハードルが高く、開催後も反対勢力との争いも懸念される。しかし、騒音の少ない「フォーミュラE」なら開催しやすく、テレビ放映によるシティセールスにも大きく活用できるだけに、今後は世界中の都市が開催に名乗りを挙げる可能性もある。残念ながら最初のシーズンに日本での開催は無いが、テレビ朝日が全戦生中継の放映権を獲得しており、今後、日本の都市での開催もその機運が高まるに違いない。日本国内では公道を封鎖した市街地レース開催の前例はなく、いまだハードルが高いという状況だが、「フォーミュラE」はそのハードルを下げてくれそうだ。
日本でのレース開催は無くとも、日本のチームとしてかつてF1に参戦した「スーパーアグリ」が初年度からの参戦を表明するなど話題が満載。次のページではそのレースの概要に迫ってみたい。