フォーミュラE、初年度は全車同じマシン

「フォーミュラE」はFIAのフォーミュラE世界選手権として開催され、フォーミュラEホールディングスがレースの運営を行う。後述する10チームが初年度から参戦予定となっているが、その全チームが同じマシンを使用するワンメイクレースであることが特徴だ。とはいえ、ワンメイクレースとなるのは予定では初年度だけで、2年目からは各チーム独自のノウハウを活かしてレーシングカーを製作、またはモディファイする計画になっている。「フォーミュラE」は名実共に「電気自動車のF1」を目指して行く。
フォーミュラE マシン

スパーク・ルノーSRT_01E  
【写真提供:Formula E Holdings】

初年度に使用するマシンはヨーロッパの「スパーク・レーシング・テクノロジー」という会社がデザインを担当した「スパーク・ルノーSRT_01E」だ。同社はかつて小林可夢偉も所属した名門F3チームASMを率いたフレデリック・ヴァスールが設立した新会社。ヴァスールは現在もGP2からレーシングカートに至るまで活躍する強豪チーム「ART GRAND PRIX」を率いており、レースに対する蓄積したノウハウと強力なコネクションを活かしながらマシンを製作してきた。

車体の製作は、日本のスーパーフォーミュラ、アメリカのインディカーのマシンを製作するイタリアの「ダラーラ」が担当。パワートレイン(動力源=モーター)はF1コンストラクターでもある「マクラーレン」が担当。そして、バッテリーはこれまたF1コンストラクターの「ウィリアムズ」が供給する。パワートレインに関しては「ルノー」がシステム全体の開発を担う。また、ギアボックスはレーシングギアボックスの名門「ヒューランド」のものを使用し、タイヤはフランスの「ミシュラン」が溝付きの全天候型タイヤを供給する。このように高い技術力を持った錚々たる企業がマシンを製作するわけだ。

最高速は? 技術的な未来は?

「フォーミュラE」のマシン、SRT_01Eは既に元F1ドライバーのルーカス・ディ・グラッシによってテスト走行が重ねられている。このテストには佐藤琢磨も参加し、開発を担って行く予定だ。
フォーミュラE

フォーミュラEのマシン
【写真提供:Formula E Holdings】

気になる最高速だが、公式には時速約220kmと発表されている。エンジンを動力源とするF1に比べれば時速100kmほど最高速が低いが、電力駆動のレーシングカーで時速330kmを記録したマシンも既に登場しているので、割と早い段階でF1に匹敵するスピードは実現するかもしれない。

これまでは有志が独自にチャレンジしてきた電力駆動のレーシングカー作りに、「フォーミュラE」設立によって大量の資金が流れ込んできているのも事実。ヨーロッパの自動車メーカーもいよいよ電気自動車の開発、販売に本腰を入れだしたので、飛躍的なスピードアップは確実な状況といえるし、トップスピードだけを追い求めるなら技術的にはそんなに難しいことではない。

ただ、スピードだけに主眼を置いてはいけない。電気自動車の難しい課題は電気を溜めておくバッテリーにある。電気自動車のバッテリーにはリチウムイオン電池が用いられているが、その性能向上は必須課題である。これはレースのためというよりも、内燃機関の自動車を置き換える形で電気自動車を社会に普及させるために性能向上が急がれる。またリチウムイオンに代わる次世代電池の開発も今後の電気自動車の未来を担っている。初年度はワンメイクレースになるとはいえ、競うという概念のもとに「フォーミュラE」を通じて鍛えられる技術ノウハウ向上は今後このレースで最も期待したい所だ。
フォーミュラE

フォーミュラEのパワーユニットはルノーが監修。
【写真提供:Formula E Holdings】

現実的には電気自動車の技術、レースというのはまだまだ「これから」という段階にあり、初年度の「フォーミュラE」では「今、ならでは」なレースルールが設けられる。次のページで紹介しよう。