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子供とのコミュニケーション、言葉に頼っていませんか(2ページ目)

大人が子どもとのコミュニケーションで頼るのが言葉。言語でのコミュニケーションが成熟している大人は、言葉でコミュニケーションを取ることが多いですよね。そして頭の中には、「言えば分かる」「言わなければ分からない」という図式があります。でも子どもはそうではありません! 子どもは、ママの言葉以上に、「裏メッセージ」でコミュニケーションを取っています。ママが気づかぬうちに子どもに送っている裏メッセージとは?

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

表メッセージ VS 裏メッセージ

それでは、前ページの例1と例2それぞれの表メッセージと裏メッセージを見ていきましょう。

■例1
  • 表メッセージ⇒ 「すぐに行くわ」
  • 裏メッセージ⇒ 「ママは『すぐ行く』と言っても、すぐに来てくれるわけではない」

■例2

  • 表メッセージ⇒ 「すぐに行くわ」
  • 裏メッセージ⇒ 「ママは『すぐに行く』と言ったら、本当にすぐに来てくれる」
簡単に言うと、ママが言葉で言ったことが「表メッセージ」、そして、ママが実際に態度で示したこと、これが裏メッセージです。さらに、例1のパターンが日常的に繰り返されると、それはやがて、「言ったことを守らなくても大丈夫」という裏メッセージへと発展します。これが子どもの「言うことを聞かない」を促進してしまっているのです!


子どもはなぜ裏メッセージで学ぶのか?

では、どうして子ども達は、表メッセージよりも裏メッセージで学んでいくのでしょう?これは、私達人間の成長過程を見ればすぐに納得がいきます。

生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ言葉を理解していません。そんな赤ちゃんが何を頼りにしているかというと、それは、「自分の身に実際に起こった経験」です。
  • 泣いたら、おっぱいをくれた ⇒ この経験で、泣くとおっぱいがくるんだ、と学びます。
  • 笑ったら、パパもママも笑ってくれた ⇒ この経験で、自分が笑うとみんなも笑ってくれる と学びます。
言葉がない状態で生まれてきた赤ちゃんは、このような経験を積み重ね、やがて言葉とリンクさせていくのです。「言葉ではなく、経験で学ぶ」、いわば、裏メッセージに頼るのは、人間の生きる術なのですね。


悩んだら、まずは裏メッセージをチェック!

育児の悩みの解決法は、裏メッセージに隠れていることが少なくありません。ここでは育児の悩みの1つ「言うことを聞いてくれない」を例に挙げましたが、他の典型的な悩み「子どもが友達を叩いてしまう」「大声で泣きわめく」なども裏メッセージを探ると解決策が見えてくることがあります。

もしこれをお読みになって、「表メッセージ(=言葉)に頼りすぎていたかも」と思ったら、ぜひ、生まれたばかりの我が子に必死になってコミュニケーションを取ろうと頑張っていた時期を思い出してみてください。

ママの思いが上手く伝わっているか分からない、我が子が何を訴えているのか分からない、そんな新生児期は、パパもママも「態度で示す」ことに必死だったはずです。子どもの言葉の成長はとても喜ばしいことですが、その便利さゆえに頼りすぎてしまって、「学びの根本」つまり「経験で学ぶ」ということから離れてしまっていることがあります。

言葉だけでなく、態度でもきちんと示す、これだけで、今の悩みがあっさり解決ということがよくあります。子ども達に伝えている「裏メッセージ」、ぜひ意識してみてください。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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