ワンシチュエーションの奇跡 『12人の優しい日本人』
元は三谷幸喜さん率いる「東京サンシャインボーイズ」の同名舞台劇
舞台と映像の距離を縮めたクリエーターとして最初に名前が挙がるのが三谷幸喜さんかもしれません。本作『12人の優しい日本人』は1990年に三谷さんが主宰を務める東京サンシャインボーイズが上演した同名の舞台劇を『櫻の園』で評判を取った中原俊監督が1991年に映像化した作品です。(舞台版は1995年にPARCO劇場で江口洋介さん、生瀬勝久さん、石田ゆり子さんらのキャストで再演)。
映画も舞台版と同じくワンシチュエーション(一場面のみ)&物語の時間の流れがリアルタイムと同じという体で進行していきます。一見普通に見える陪審員たちが、実はそれぞれ悩みや問題を抱えており、審議の中でいつしかその問題があぶり出され、思いもかけない方向に物語が展開していく面白さは三谷さんの脚本ならでは!
舞台の上演時や映画の公開当時は「もし日本にも陪審員制度があったら」……と、どこか遠い世界の様に感じる設定だったのが、裁判員制度が導入された今、「いつか自分もあの席に座る事があるかも。」と、また違う見方ができるかもしれません。
脚本:三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ
監督:中原俊
日本映画史上最も”ハダカなドラマ” 欲望と本音と虚が錯綜する
『愛の渦』
『愛の渦』 (C)映画「愛の渦」製作委員会
ドキュメンタリー演劇と云う新しいジャンルの作品を引っ提げ、1996年の旗揚げ以来、常に演劇界に旋風を巻き起こしてきたポツドール。本作『愛の渦』は2005年4月、THEATER/TOPSで上演され、第50回岸田國士戯曲賞を受賞した同名の舞台劇をポツドール主宰・三浦大輔氏の脚本・監督により映像化した作品です。
深夜、高級マンションの一室に集う8人の男女。ニート、女子大生、フリーター、保育士……。普段の生活では関わりがなさそうに見える彼らがここに集まった理由は「ただセックスがしたい」という一点のみ。 女性1千円、男性2万円の入場料を払って見知らぬ人間同士が裸で過ごす一夜。そこでは剥き出しの性欲、恋愛感情、人間の滑稽さ、残酷さ、そして一片の純粋モード……と、様々な思いが渦巻いて……。
2009年再演時のチラシ(ガイド私物)
2014年3月に公開される映画版『愛の渦』。ミュージカル『ライオンキング』のヤングシンバとしてキャリアをスタートさせた後も、映画『ラスト・サムライ』や舞台『ぬるい毒』で頭角を表している若手実力派俳優・池松壮亮さんと、途中で耐えられず退出する参加者も出た”修羅場のようなオーディション”で選ばれたヒロイン・門脇麦さんの2人をはじめ、ドラマ『半沢直樹』の近藤役でお馴染みの滝藤賢一さん(今年『あまちゃん』『半沢直樹』『相棒』の3作品全てに出演した唯一の俳優さんです!)、新井浩文さん、田中哲司さん、窪塚洋介さんらの魅力的な出演者が紡ぐ”ハダカの世界”。
演劇界で生まれた『愛の渦』が2014年、映像の世界でどんな旋風を巻き起こすか……注目です!
2014年3月1日(土)テアトル新宿他にて公開
原作・脚本・監督:三浦大輔
出演:池松壮亮 門脇 麦 新井浩文 滝藤賢一 三津谷葉子 窪塚洋介 田中哲司
公式HP
如何でしょうか?舞台と言う限られた空間からよりリアルな世界へと飛び立っていった作品たち。原作の舞台をご覧になった方もそうでない方も是非チェックしてみて下さい。