ゼラニウムの花が咲き誇る村、グリメンツ
一軒づつ立ち止まりながらシャッターを押す人も見かける。画像提供:オフィス・ロマンディー
長年の間、強い日差しを受けて黒く焼け焦げた木造建築の窓辺に色とりどりの花が咲き誇る様は圧巻。村を一巡しても15分くらいで歩けるほど小さな村ですが、決して見飽きることはありません。
昔は麓の村から馬の背に乗せられてワインが運ばれてきた。画像提供:オフィス・ロマンディー
標高1572mのグリメンツではワインはできない気候のため、麓の町、シエールでできたワインを樽ごと運んで熟成します。運び込まれたワインは、村の会館内にある樽に貯蔵され、一年に平均25リットルずつ注ぎ足されます。夏も涼しいグリメンツで熟成したワインには、独自の風味と濃厚な味わいが加わります。
残念ながら氷河ワインはお店で販売されていないので、お土産に持って帰ることはできません。しかし地元観光局が主催する氷河ワインテイスティングのツアーに参加すれば、ここでしか味わうことができない氷河ワインを味わうことができます。
天文の里、サンリュックで惑星の道を探索
サンリュックを代表するホテル、ベラ・トーラ。画像提供:オフィス・ロマンディー
サンリュックからケーブルカーで上がる標高2186mのティニューザ展望台は、スイスの中でもひときわ澄んだ空気のおかげで、天文観測に適した場所と認められています。頂上駅付近には天文台があり、「惑星の道」と呼ばれるハイキングコースもあります。
「惑星の道」の先には山岳ホテルがある。画像提供:オフィス・ロマンディー
各モニュメントは正確な縮尺で配置され、1メートル歩くと宇宙の100万キロを進んだことになります。アニヴィエ谷を取り囲むアルプスと眼下の村を眺めながら、スイスの山中で宇宙旅行の疑似体験をしてみるのも面白いでしょう。
アニヴィエ谷最奥の村、ツィナール
標高1670mの村ツィナールよりベッソの双頭を望む。画像提供:オフィス・ロマンディー
村から見える双頭の頂が特徴の山は、ベッソ(標高3668m)。さらにツィナール周辺のハイキングコースを歩くと、ヴァイスホルンやツィナールロートホルンなど、ヴァレー州の名峰の眺めを楽しむことができます。ツィナールからロープウェイでソルボワの展望台へ上がれば、マッターホルン周辺の名峰がずらりと肩を並べます。
ツィナールの情景は、新田次郎の名著、「アルプスの谷 アルプスの村」の中にも登場します。この本の発刊は昭和54年。白銀のガウンを羽織ったような山グランコルニエに魅せられたことなどが、生き生きと描かれています。