公的手当/退職や転職時にもらえる手当・給付金

再就職手当とは?失業期間を長引かせないために活用を

雇用保険には、早く新たな職を見つけた人や職を見つけようと求職活動を広域で行う人に対して、就職促進給付を行っています。その内容は、再就職手当、就業手当、就業促進手当、就職促進定着手当、常用就職支度手当、移転費、広域求職活動手当です。この記事では、「再就職手当」を詳しく解説します。

拝野 洋子

執筆者:拝野 洋子

ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士 / 年金・社会保障ガイド

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「再就職手当」とは?誰がもらえる?

望まぬ失業、やりたいことがあっての会社退職……。人それぞれ、いろんな事情がありますが、失業しても生活費はかかります。そんなときに助かるのが、雇用保険の「基本手当」(一般的に言われる失業手当)です。

この基本手当は、離職理由や年齢により支給期間が異なります。失業期間が長期間になるほど多く支給されるのです。では早く新たな職を見つけた人は、受給額の面で損をするのでしょうか?

雇用保険には、早く新たな職を見つけた人や職を見つけようと求職活動を広域で行う人に対して、「再就職手当」や「就業手当」などのような「就職促進給付」が用意されています。

今回はこのうち「再就職手当」をご紹介します。失業した人(雇用保険受給資格者)が早期に安定した職業に就いたり、事業を開始したりした場合、一定の要件を満たせば支給されるというものです。

再就職手当等

基本手当も再就職手当もハローワークで手続きが必要。



再就職手当の支給要件

再就職手当が支給されるには、原則、以下の全ての要件が必要になります。

1. 受給手続き後、7日間の待機期間後の就職、事業開始であること。

2. 就職日前日までに、ハローワークで失業認定を受け、基本手当(一般的に言われる失業手当)の支給日数が1/3以上残っていること。

3. 離職前の事業所や離職前の事業所と密接な関わりがある事業所への再就職ではないこと。

4. 自己都合退職などで、給付制限(基本手当が支給されない期間)がある人は、ハローワークで手続き後、待機7日と1カ月の期間内に、ハローワークや職業紹介事業者の紹介によって就職すること。

5. 原則、1年を超えて勤務することが確実であること(生命保険外務員や損保代理店研修生のように、1年以下の雇用期間や雇用契約更新で一定目標達成が必要な場合は、この要件に該当しません)。

6. 原則、雇用保険に加入していること。

7. 過去3年以内の就職または事業開始について、再就職手当または常用就職支度金の支給を受けたことがないこと。

8. ハローワークへ求職の申し込み前から採用が内定していた事業主に雇用されたものではないこと。

9.再就職手当の支給決定日(申請から約2,3か月)までに離職していないこと。

以下の図は、自己都合などで退職した場合の支給イメージです。
自己都合退職

自己都合などで退職の場合(ハローワーク資料より引用))


こちらは、会社都合などで退職した場合の支給イメージです。
会社都合退職

会社都合などでの退職の場合(ハローワーク資料より引用)


再就職手当の支給額

再就職手当の支給額や申請手続きについて解説します。再就職手当の支給額は、基本手当の支給残日数が多い(早目に職業に就いた)ほうが多くなる仕組みです。下記のように、支給残日数の多いほうが支給率が10%高くなっています。

  • 基本手当の支給日数を1/3以上残して就職した場合:支給残日数の60%
  • 基本手当の支給日数を2/3以上残して就職した場合:支給残日数の70% 
以下は、再就職手当支給額の一覧表です。所定給付日数(基本手当が支給される日数)と、再就職時の基本手当の支給残日数の組み合わせによって、支給額が異なります。
再就職手当額

あなたの再就職手当額は?(ハローワークの資料より引用)


【例1】
基本手当日額4000円、所定給付日数270日の人が、受給資格決定日以後100日目に就職
⇒所定給付日数270日に対して、基本手当の支給残日数が178日なので給付率は60%
⇒再就職手当支給額=4000円× 178日× 60% =42万7200円

【例2】
基本手当日額4000円、所定給付日数270日の人が、受給資格決定日以後50日目に就職
⇒所定給付日数270日に対して、基本手当の支給残日数が228日なので給付率70%
⇒再就職手当支給額=4000円× 228日× 70% =63万8400円

雇用保険受給資格者証

雇用保険受給資格者証(ハローワークの資料より引用)


上記の雇用保険受給資格者証(ハローワーク資料より引用)を参考にして、以下のように再就職手当の支給額を計算できます。

再就職手当支給額=基本手当日額×支給残日数×60%もしくは70%

※基本手当日額の上限額(平成30年7月31日まで、毎年8月1日に改定)は、離職時年齢60歳未満が6070円、離職時年齢60歳以上65歳未満が4914円です。

再就職手当の支給申請手続き

再就職手当は、就職した翌日から1カ月以内に本人、代理人、郵送により支給申請書を住所地のハローワークへ提出します。

添付書類には、雇用保険受給資格者証、採用証明書、開業届(自営の場合)などが必要になることがあります。詳しくは住所地のハローワークでご確認ください。

再就職手当で早期の再就職を!

13年以上も前の話ですが、再就職手当の支給率は30%でした。平成29年1月より支給残日数が2/3以上で70%の支給率と、以前と比べ2倍以上です。それだけ国としても失業期間を長引かせるより、早期の再就職を促していると言えるでしょう。

再就職手当は派遣社員も要件を満たせば支給対象ですし、パートやアルバイトでも就業手当(支給率は30%)が支給されることがあります。

再就職手当を受給した人が、再就職先に6か月以上雇用され、6か月間の賃金が離職前より少ない場合は、就業促進定着手当が支給されることがあります。

また、13年以上前は、事業を開始し、再就職手当の支給を受けるためには、人を雇い雇用保険に入れることが要件でした。現在は人を雇わなくても、自立したと認められる一定の要件を満たせば、再就職手当の支給対象となっています。

ただし、再就職手当の対象となるのは、失業後にハローワークで手続き後、待機7日間終了してから準備を始めた起業に限ります。失業前から開業準備していた場合は対象外です。自営業などを検討する方は、住所地のハローワークで事業内容等を相談してみましょう。

ブラック企業へ再就職するより、今までの人生経験や職業経験を生かして自営業に踏み切るのも、選択肢の1つではないでしょうか?

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