『加賀テツヤ7回忌メモリアル
~ザ・リンド&リンダース ラストステージ~』
2013年11月24日、大阪市内のライブハウス『Bonilla』にて『加賀テツヤ7回忌メモリアル~ザ・リンド&リンダース ラストステージ~』が開催された。加賀テツヤ7回忌メモリアル~ザ・リンド&リンダース ラストステージ~
1960年代後半に関西屈指のグループサウンズとして人気を誇り、ザ・タイガースやザ・ナポレオンなど後進のデビューにも深く関わったザ・リンド&リンダース。
近年は活動が見られなかったが、2007年に亡くなったリードボーカルの加賀テツヤの七回忌を前に誰からとなく話し合いがもたれ、6年ぶりの結集に至ったのだ。
参加メンバーは榊テルオ(Vo)、宇野山和夫(Ba)、堀こうじ(Gt)、吉田敏雄(Gt)。
この報はまたたく間に全国のファン、グループサウンズ好きに伝わり、チケットは予約の段階で早々にソールドアウトになった。
涙と歓声!感動のラストステージのはじまり
イベント当日……会場には予想よりも早い時間から大勢のファンが押し寄せ、近隣施設への配慮から開場を前倒しせざるを得なくなるハプニング。
開幕し、最大のヒット曲『銀の鎖』のイントロが流れると同時にあふれ出す熱狂的な歓声の渦。
笑顔に混じってちらほらと女性ファンの泣き顔が混じっているのも確認できた。
どう言った形容が適切なのかわからないが、とにかくファンに勢いがある。
「これがグループサウンズ世代、団塊の世代の持つエネルギーなのか」、「さすが加賀テツヤの遺徳」、「今でもこれだけのファンに愛されているグループサウンズがどれだけあるだろう」などといろんなことが頭に浮かんだ。
満員の客席
往時を意識した揃いの赤いジャケット
第一部ステージ!『銀の鎖』『ギター子守唄』『恋にしびれて』
ファンの勢いに負けじとパワフルなステージングでステージを駆け回る榊テルオ。本来、隣でツインボーカルをとっている加賀テツヤがいない分、『自分が盛り上げなくては』という気迫が見て取れた。
ハスキーな加賀テツヤのボーカルとは異なり、しっとりと聞かせる歌唱力で人気のあった榊テルオ
他のメンバーも、70歳近くになりルックスこそ変わったものの、キレのある演奏とアクションはまったく衰えが見えない。
寺山修司が作詞を担当したデビュー曲『ギター子守唄』、『銀の鎖』の両面ヒット曲『恋にしびれて』、榊テルオのリード曲で坂本スミ子がカバーして大ヒットした『たそがれの御堂筋』と軽快なトークを交えながら次々と代表曲を演奏する中で、会場はすっかり45年前のグループサウンズブームにタイムスリップしてしまった。
堀こうじ、吉田敏雄のツインリードでベンチャーズ『ダイアモンド・ヘッド』のカバーも。こういったところにグループサウンズ先発組ならではのエレキブームの影響が見られる。
グループサウンズ仲間からのメッセージ
その後、ザ・タイガースの瞳みのる、オックスの真木ひでとからのメッセージコーナー。
それぞれグループサウンズ時代の思い出、晩年の加賀テツヤとの交際を情感たっぷりにつづっており、泣き出す人は増えるばかり。
以下に内容を紹介する。
瞳みのる
加賀さんが亡くなってもう七回忌ですか。
リンド&リンダースとは京都では高木和来さん以来のつきあいで、彼もすでに亡くなられて寂しいことです。
僕は芸能界……音楽界と言ったほうがぴったりきますが、その世界から離れて訃報を聞かないまま長い年月が過ぎました。
リンドの方々には特に大阪岸里の名月荘時代に宇野山さんにたいへんお世話になりました。
東京に出てさまざまなバンドと仕事をするようになったのですが、やはりナンバ一番の時代が一番楽しい時代でした。
ずいぶんと、いつも馬鹿なことをやっていたというのがもっとも思い出として残っています。
大阪難波の南海電車の広場で大立ち回りをやったことは忘れられません。
もう一度人生が可能ならば、あの時代にかえりたいものです。
不安と期待にあふれた。
真木ひでと(一部)
東京に来た当時、合宿所がみつからなくって、リンド&リンダースが借りてた東京の合宿所『目黒ハイツ』にしばらくお世話になったんだ。
ここではタイガースも住んでたんだよね。
夜になるとおびただしい数の女の子が集まってるから「何事?リンドのファン?」って思ったら、ここにはタイガースが住んでるって聞いて納得できたけどね。
忘れもしないのは加賀さんが亡くなる直前「ハッピーバースデー!ひでと!」って電話をくれたんだ。
「先輩!ハッピーバースデーって!俺、来月だから!誕生日。」って言ったら「えっ?そうか。まぁええやないか。めでたいことが早く来ても!」なんて大笑いしながらお話ししたのが最後の会話になっちまった。
間違ったとは言え他人の誕生日なんて覚えられないよ。
すごい人だったなぁ。
天性に明るくて。
もうあれから七回忌が来るんだね。
パープルシャドウズ・今井久らGS仲間の登場
メッセージコーナーが終わると、続いてゲストにパープルシャドウズの今井久が登場。超絶テクニックで『小さなスナック』『ラブサイン』などを披露した今井久。今回は後期パープルシャドウズメンバーの剣正人、内村キンヤを引きつれての出演。
グループサウンズ時代、パープルシャドウズの所属事務所がリンド&リンダースの『ターゲットプロ』と同じビルに入っていた関係で、よくメンバー同士遊んだ思い出を語り『小さなスナック』などを披露した。
また、元リンド&リンダースの沢田クロや、ナンバ一番の後輩バンドだったザ・ローグスのtomiもソロとして登場し、精力的なステージングで会場を沸かせた。
ジャズ喫茶『ナンバ一番』でリンド&リンダースと共演し、加賀テツヤと親交の深かったザ・ローグスのtomi
中将タカノリも歌わせていただきました
僕も加賀テツヤとご縁があった者として『あした日が昇ったら』を歌わせていただいたのだが、あれほど緊張するステージもなかなかない。『売られたギター』B面の『あした日が昇ったら』。加賀テツヤお気に入りの一曲でした。
暖かい拍手で迎えていただいた寛大なファンの方々に感謝!
第二部ステージ!『夕陽よいそげ』『ハ・ハ・ハ』
第二部のリンド&リンダースのステージではこれまでの出演者も交えながら『夕陽よいそげ』、『ハ・ハ・ハ』など後期のヒット曲を演奏。メンバーは第一部よりもややリラックスした面持ちで、この日集まったファンに「ありがとう」と語りかけているような、和やかなステージングだった。
予定していなかったアンコールでは『銀の鎖』、『恋にしびれて』。
アンコールの『銀の鎖』では堀こうじがイントロのリードギターを忘れて場内が爆笑するというというハプニングも
リンド&リンダースにとっても、ファンにとっても、あっという間の2時間半だった。
ラストだけど……またやるかも?
今回のステージを"ラスト"と銘打ったリンド&リンダース。しかし、イベントをプロデュ―スしたDAI氏によると
「今回は"ラスト"だけど"ファイナル"ではない。加藤ヒロシさん、毛利アキさんなど今回出演できなかったメンバーがもし集まるなら、改めて意見を聞き、企画を考えたい。」
ということだ。
イギリスで音楽プロデューサーとして活躍する加藤ヒロシや、連絡の絶えてしまった毛利アキが参加するのは困難かもしれない。
しかし、もし実現するなら……ファンもなによりそれを望んでいることだろう。
今後もリンド&リンダースの動向をお届けしていきたい。