近未来の夢を落ち着いて語りかけるVW
特に、素晴らしかったのは、VWである。確かに、展示規模は他のビッグショーから比べると見劣りする(それは、各社ともそうだ)。けれども、完成度の高いEV(e-up!)やプラグインハイブリッド(twin up!)など、近未来の夢を落ち着いて語りかける展示には、ただただ尊敬あるのみ。どうやら、自動車の近未来は、彼らの描く通りの道を歩みそうだ。悔しいけれど、日本のメーカーとしては、たとえば日本を含む非中国のアジア市場だけでも、違う未来を語れるようにならなければいけないと思う。なるほど、輸入車が初の日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したのも、象徴的な出来事だったと言えるだろう。
ワールドプレミアでは、ポルシェとBMWミニが魅せてくれた。(イタリアの連中とは違って)世界的に有名なブランドでありながら、そして、ロスや広州といった巨大市場のショーと被る日程でありながら、ちゃんと世界戦略車であるコンパクトSUVの“マカン”と、新型ミニを、それぞれLAショーと同時に披露したのだ。
マカンに関して言うと、ワールドプレミアはあくまでもロスの前夜祭(現地時間19日夜)、ということになってはいるけれども、16時間という時差を考えれば、東京におけるアジアプレミアもまた実質上の世界初公開だ。それだけ、ポルシェは日本市場を重用視しているということだろうし、また、このマカンというクルマもカイエン以上にブレイクしそうな予感がある。
何と言っても、サイズ感がいい。横幅は相当にあるし、実質、初代カイエンのモデルチェンジ版のような位置づけの大きさだが、“少し大きめの輸入SUV”が欲しいという向きには、ベストサイズ。マカンが登場したことで、カイエンのさらなる上級移行も予想されるから、よりいっそう、ポルシェにとってはこのクルマが“円箱”になるはず。ベースは、アウディQ5。
メルセデス・ベンツもS65AMGとSLS AMGファイナルエディションの2台を、そしてジャガーもFタイプクーペを、LAと同時に世界プレミアしてくれたわけだけれども、こちらは言って見れば追加車種。正真正銘のワールドプレミアをトーキョーでお披露目した先の2ブランドに、まずは歓迎の拍手を贈ろうじゃないか。
ポルシェ初の東京モーターショーでのワールドプレミアを果たしたパナメーラ ターボSエグゼクティブ。ホイールベースが15cm長いエグゼクティブに、570ps750Nmの4.8リッターツインターボを搭載する。価格は2898万円