シャシもエンジンも一新し、燃費は大幅に改善
トヨタの商品計画だとハリアーは2代目を最後に生産を中止し、レクサスRXに引き継ぐことになっていた。しかしトヨタのディーラーから「ハリアーを無くさないで欲しい」という強いリクエストを受けていたという。かといって2003年に発売されたモデルをいつまでも売るワケにもいかない。10年ぶりのフルモデルチェンジとなった今回。ダウンサイジングにより燃費が大幅に改善した
最も大きい変更点が、パワーユニットである。普通のガソリンエンジン搭載車は160馬力の2.4リッター4気筒から、151馬力の2リッター4気筒にダウンサイジングされた。気になる走りだけれど、トヨタに聞いて見たら「先代に勝るとも劣らない走りをします」とのこと。車重が40kg程度軽くなっているだけでなく(ベースグレードは1560kg)、ATが超旧式の4速タイプからCVTになっているだめだ。さらにアイドリングストップの採用などで燃費11km/Lから16km/Lへ大幅に改善されている。乗り換えた人は実用燃費の差に驚くことだろう。
装備は充実も、ランニングコストではライバルに苦戦
ハイブリッドも後輪駆動用のモーターこそ同じ68馬力ながら、前輪は211馬力の3.3リッターV6からカムリHVやクラウンHVと同じ2.5リッター4気筒152馬力にダウンサイジングされている。2代目ハリアーHVって、燃費より動力性能を重視した時代のハイブリッドだったのだ。燃費は17.8km/Lから21.8km/Lに向上し、一回りコンパクトなスバルXVハイブリッドの20km/Lを大幅に凌ぐ。ただランニング コストという点からすれば、燃費が良い上、安価な軽油を使えるマツダCX-5や、さらに安い電気も使う三菱アウトランダーPEHVに届かない。
一昔前までハイブリッド=最もランニングコストの低いパワーユニットだったけれど、今や完全に追いつかれてしまった。なかでもアウトランダーPHEVは、補助金を使えるため車両価格という点でもイーブン。ちなみに絶対的な動力性能と言えば、これまたディーゼルやPHEVと良い勝負です。
横滑り防止装置VSCなど、標準装備はなかなか充実している
果たして新型ハリアーは買いか? 残念ながら「10年分の進化」という点で少しばかり物足りない。むしろ自動ブレーキなど安全装備でライバルに 負けており、燃費(ラニングコスト)は追いつかれてしまった。購入を考えているなら、ライバルとジックリ比較し検討するといい。