年収1000万円でも貯金ゼロの人が1割?
金融広報中央委員会が毎年行っている統計データに「家計の金融行動に関する世論調査」があります。世代別の貯蓄率とか、年収の増減などいろんなトレンドがわかる資料なのですが、今回、この調査の平成25年結果が公表されており、ここから「貯めるコツ」を示しているユニークなデータをご紹介したいと思います。そのデータとは「年収1200万円以上(税引き後)」であっても、1割の人は貯蓄ゼロ、というものです。
全体の平均では31%が貯蓄ゼロと回答していますし、年収がない人は48%が貯蓄ゼロと回答しているように、年収が低いからお金が貯まっていない、というのはまあ分かります。私たちも「今は無理だけど、もう少し年収が増えたら貯めよう」といいわけしてはいないでしょうか。
しかし、自由に使えるお金が1000万円以上あっても1割の人がお金が貯められていないとしたら、どうでしょう。お金が貯められないのには、違う理由があるのかもしれません。
少し考えてみましょう。
どんなに稼いでも「いってこい」生活では貯まらない
「年収が高いが貯蓄はない」という人は、「高い収入=多い支出」という生活をしていることになります。これは簡単にいえば、「給与振込日の前日に残高がゼロ」になり、「給与振込日に残高が回復してはまた使う」を繰り返していることになります。実はこれ、お金が貯まらない典型的パターンでもあります。毎月20万円の収入で20万円使えば貯金はゼロです。毎月40万円の収入でも40万円使ってしまえば貯金はゼロになります。年収1000万円の人は50~60万円の月収だと思いますが(たいていボーナスも大きい)、貯金ゼロということはやはり50~60万円を使っているということです。
こうした「いってこい」の生活はきわめて危険です。年収が上がれば上がるほどに生活コストも上げている人は、年収が下がったとき、生活コストをそれに合わせて下げられないからです。1000万円の年収が950万円に下がるととたんに「借金50万円」になってしまいます。普通の人からすれば信じがたい話です。
普通の年収の人が、こうした人に学ぶとしたら「いってこい」の生活、宵越しの銭は持たない習慣はまねしない、ということです。