3位 ショーガール
第16回にて10部門にノミネート、見事7部門で受賞という快挙(?)を成し遂げた作品です。内容はポール・バーホーベン監督お得意の悪趣味表現がてんこもりで、殴ったり、吐いたり、脱いだりする描写がとにかく続きます。レイティングは当然のようにNC-17(18禁)で、受賞の理由はお下劣な描写が目につきまくった結果でもあるのでしょう。
しかし、映画ファンからは評価の高い作品です。ダンスシーンには迫力がありますし、努力や挫折が描かれたスポコンものとして王道を行っています。何より女性の裸がたくさん観れるので、男性は観て損はないのかもしれません。
これも受賞時のエピソードが有名。監督はノリノリでトロフィーを受け取り、「これからもサイテーな映画を撮り続けるよ!」と宣誓したそう。このくらいの精神の強さも身につけたいものです。
2位 バトルフィールド・アース
第21回にて7部門を受賞しました。原作は新興宗教の創始者が書いた小説で、熱心な信奉者として知られるジョン・トラボルタが製作・主演を務めました。しかし、SFファンからはそっぽを向かれてしまい、アメリカでは過去10年の興行成績のワースト2位となってしまっています。
端的な印象を言えば「お金かけているはずなのにものすごくチープ」。平和な地球に突如異星人が襲来してわずか9分で人類は征服されてしまうという強引なあらすじだけで頭がクラクラ。トラボルタは異星人のコスプレをしているようにしか見えず、他の展開も有名な映画(主に猿の惑星)からのパクリがオンパレード。とにかく稚拙です。最低映画の代名詞と言っても過言ではないでしょう。
ちなみに、脚本を務めたJ・D・シャピロは映画公開から10年が経過した2010年、ニューヨーク・ポスト紙に観客に向けた謝罪文を掲載しています。シャビロ氏はモテたい一心で脚本を手がけたけど、結果として最低映画の脚本家というレッテルを貼られてしまい、全くモテなくなってしまったのだとか・・・ご愁傷様です。
1位 ジャックとジル
第32回にて、史上初の全10部門を制覇しています。特筆すべきは、主演のアダム・サンドラーが最低「女優」賞まで受賞していること。というのも、彼は本作で男性と女性の一人二役を演じているのです。
あらすじは、真面目な青年ジャックが、双子の妹ジルに迷惑ばかりかけられてしまうというもの。何が問題って、このジルがひたすらにウザいことです。ジルがどう頑張っても女装したアダム・サンドラーにしか見えないことも含めて、人によっては不愉快極まりないでしょう。
しかし、名優アル・パチーノのファンにとっては嬉しい要素もあります。「ゴッドファーザー」「スカーフェイス」「セント・オブ・ウーマン」といった作品を引用したギャグがあるので、それらの映画ファンであれば存分に楽しめるのではないでしょうか。
作品のくだらなさからこの結果になってしまいましたが、アダム・サンドラーを擁護する声も多くなっています。彼は本国ではかなり有名なコメディアンですが、日本ではその主演作はなかなか劇場公開されません。名誉ある賞を獲って有名になってほしいものですが、アダムは翌年のラジー賞でも「俺のムスコ」で主演男優賞を受賞してしまっています。頑張れ、アダム・サンドラー!主演作の「もしも昨日が選べたら」は名作です!
こうしてみると(悪い意味で)ものすごい作品ばかりですね。しかし、映画というものは観てみなければわからないものです。今回ラジー賞3部門を受賞した「アフターアース」は個人的にはそれほど悪くない作品と思えましたし、それ以外の作品達もごく一部ではカルト的な人気を誇っていたりします。
観る側としては、これら最低な作品を観ることで、相対的にほかの映画が素晴らしい映画に思えるかもしれませんし、クリエイターにとっても「最低」な評価というものは、「次は絶対にこれ以上のものが作れる」という今後の作品への励みになるのではないでしょうか。「最低な映画賞」という一見不必要で不名誉に思えるものにも、その意義はあるのかもしれませんよ。