セロトニンからメラトニンへ……睡眠ホルモン・メラトニンとは

松の実

松果体は、松の実に似た形をしています

1958年に米・イェール大学皮膚科医師のアーロン・ラーナーが、牛の脳の松果体からメラトニンを発見しました。はじめは、オタマジャクシの表皮を白くする成分として報告されました。

人間でも肌の美白作用を期待して、メラトニンをボランティアの人に注射しました。ところが残念なことに、ヒトでは美白作用は表れませんでした。そのかわり、ほとんどの人が眠り込んでしまったので、メラトニンに催眠効果があることが分かったのです。

メラトニンはほとんどの哺乳動物の松果体に含まれていて、食材では米や麦などの穀物、貝割れ大根、ケールなどにも多く含まれています。私たちの体の中では、必須アミノ酸の「トリプトファン」からまず「セロトニン」が作られ、セロトニンが夜になるとメラトニンに変わります。

人間をはじめとする昼行性の哺乳動物では、朝、目が覚めて初めて光を見てから14~16時間たつと、松果体でのメラトニン産生と分泌が盛んになります。メラトニンの働きにより手足で熱が発散されて脳の温度が下がり、1~2時間のうちに自然な眠気が生じてきます。

夜にメラトニンの血中濃度が高くなり、昼に低下するリズムは、昼行性動物だけでなく夜行性動物にも見られます。ただし夜行性動物では、メラトニンが増えても眠気は生じません。

体内時計・睡眠時計を整える! 光でメラトニンをコントロール

夜明け

朝日をしっかり浴びると、夜はぐっすり眠れます

睡眠ホルモンのメラトニンを有効に使ってグッスリ眠るためには、光と食事、運動がキーポイントです。

まず、朝起きたら太陽の光をしっかり浴びましょう。夜のあいだにたくさん出ていたメラトニンは、明るい光を見ると急激に少なくなります。そして、この時刻から14~16時間たつと、再び松果体からの分泌が始まって眠気が強くなってきます。

部屋の照明をつけるだけでは、明るさが足りません。カーテンを開けて窓際で5~10分ほど、外を眺めましょう。できれば、屋外を散歩すると強い光を浴びられます。

夜に明るいお店へ行くと、脳が朝だと勘違いして、メラトニンの分泌を止めてしまいます。500ルクスを超えた明るい環境では、メラトニンが減って眠気が弱まります。500ルクスというのは、蛍光灯照明の事務所の明るさぐらいです。夜になったら、コンビニエンスストアやパチンコ店へ行くのは、要注意です。

明るさだけでなく、光の色もメラトニンに影響します。同じ明るさでも青い光は、ほかの色に比べてメラトニンの分泌をより減らします。薄型テレビやタブレット端末、スマートフォンの画面からは、たくさんの青い光がでています。これらを見るのは、眠る1時間前にはやめておきましょう。

夜にメラトニンを減らさない方法もあります。それは、日中なるべく、明るい環境で過ごすことです。できれば毎日30分ぐらい、屋外で日光に当たりましょう。

概日リズムを整えてスッキリ! 食事と運動とメラトニンの関係

バナナ

朝食には、バナナと牛乳がお勧めです

メラトニンの原料であるトリプトファンは、人の体の中で作れないので、食事からとる必要があります。トリプトファンをたくさんとると、夜はぐっすり眠れて、朝はスッキリ目覚められることが分かっています。

ただし、サプリメントでトリプトファンをとるのは、お勧めできません。これまでに、健康被害が起こったという報告があるからです。トリプトファンは豆や豆製品、牛乳、乳製品、肉類、バナナ、アボカド、スジコ、タラコに多く含まれていますから、これらの食材からとるようにしましょう。

リズムがある運動をすると、脳の神経伝達物質の1つであるセロトニンが増えます。セロトニンは目を覚ましたり、気持ちを穏やかにする働きがあります。セロトニンは夜になるとメラトニンに変わるので、日中にたくさんセロトニンを作っておくと、その分、夜にはメラトニンがたくさんできて、グッスリ眠れます。

ガムをかむと眠気が少なくなるのは、顎のリズミカルな運動によってセロトニン神経が活発になるからです。セロトニンを増やすリズム運動には、ガムをかむことのほかにも、ウォーキングや首回し運動、ゴルフのスイングの練習、歌を歌うことなどがあります。

毎日のちょっとした心がけで、メラトニンを増やせます。今日からできることを一つずつ実行して、生体リズム(バイオリズム)に合った睡眠習慣を取り戻しましょう。


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