貯蓄/平均貯蓄額などの気になるデータ

資産ゼロ家計が大幅増?3割は貯蓄なし

日本銀行が四半期ごとに公表する「資金循環統計」、総務省が年1回公表する「家計調査年報」と並んで個人の金融資産の状況を知る統計データに金融広報中央委員会が年1回公表する「家計の金融行動に関する世論調査」があります。この調査では統計データ以外に、家計の行動分析が行われています。今回は、2人以上世帯の調査内容を見てみることにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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貯蓄ゼロ家計が大幅増。調査した世帯の31%に

貯蓄ゼロ世帯が増えつつある

貯蓄ゼロ世帯が増えつつある

2013年調査の金融資産の保有額は、平均値で1101万円、中央値で330万円となり、前年調査と比較して平均値で7万円、中央値で120万円もの減少となっています。一方、金融資産を保有している世帯に限ると、保有額の平均は1645万円、中央値900万円となり、前年調査と比較して平均値で106万円、中央値で40万円の増加となっています。

この数値の差は、金融資産を保有していない世帯が大幅に増加したことがその背景にあるようです。金融資産を保有していない世帯は、調査した世帯の31.0%。前年と比較して5.0%の大幅な増加となりました。3割を越えたのは初と記憶していますが、これまで金融資産を保有していない世帯は2割程度といわれていた統計値を変更する必要が出てきたのかもしれません。

金融資産保有世帯においては、前年と比較して現金や流動性の高い預貯金から、長期運用型やリスク資産に振り向けた世帯は5.6%となった反面、長期運用型やリスク資産から、現金や流動性の高い預貯金に振り向けた世帯は3.9%でした。投資を控えた世帯よりも、投資を行った世帯が多いことから、アベノミクス効果があったように感じられます。

さらに同世帯では、金融資産の残高が1年前と比較して減った世帯は30.1%と前年と比較して10%低下しました。他方、金融資産が増えた世帯は25.6%と前年と比較して6.4%の増加となりました。

金融資産の保有目的と選択

金融資産の保有目的では、「老後の生活資金」が65.8%と最も高く前年と比較して1.1%の増加。次いで「病気や不時の災害への備え」が63.8%となりましたが、1年前と比較して3.4%も低下しました。過去10年前後は、病気や不時の災害への備えが常に最も高かったのですが、老後の生活資金がトップとなりました。一過性なのか、来年以降も続くのか気になるところです。

金融商品を選ぶ際に最も重視しているのは、「元本が保証されているから」が29.6%と前年と比較して1.1%減少。次いで「少額でも預け入れや引き出しが自由にできるから」が19.1%(前年比0.3%減少)、「取扱金融機関が信用できて安心だから」が17.4%(前年比0.6%減少)と続いています。

これを金融資産の3大特性である「安全性」「流動性」「収益性」に分けると、安全性重視が47.0%(前年比0.3%増)、流動性が25.0%(0.3%増)となった反面、「収益性」は14.7%と前年よりも2.2%も減少しています。アベノミクスによる資産高効果があるかと思いきや、意外と堅実に金融商品選びを行っていることがわかります。

しかし、今後保有を希望する金融商品は、預貯金が52.1%と最も多かったのですが、前年と比較して1.2%低下した反面、債券、株式、投資信託のいずれかの有価証券の保有を希望している世帯は前年と比較して2.4%増の13.9%となったことから、少しずつですが貯蓄から投資、あるいはデフレからインフレへの意識が高まりつつあるのかもしれません。

ただし、元本割れを起こす可能性があるが、収益性の高いと見込まれる金融商品の保有について「そうした商品を保有しようとは全く思わない」が、前年より1.9%減少したものの依然として82.6%もあります。「そうした商品についても、一部は保有しようと思っている」は、前年と比較して1.6%上昇して14.1%になったことが救いと言えそうですが、投資が根づくには多大なる時間が必要と思われます。

金融業界はNISA(少額投資非課税制度)で盛り上がっていますが、投資家は意外と冷静で、むしろ冷めた目で見ているのかもしれません。また、預貯金偏重は当面続くと思われることから、もしかしたらデフレは脱却できないと大多数の人は考えているのかもしれません。2014年にはどんな変化が見られるのか注目したいところです。
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