保険料が手取り年収額の22%! 高い保険料をどうする?
保険料は決まった額が口座から定期的に引かれる、いわゆる固定支出です。しかも、保険料の支払いはその多くが長期間。たとえば、保険料が毎月2万円、加入期間20年の保険が1本あれば、トータルで480万円の支出となりますから、保険料はその「高い」「低い」が家計管理に大きな影響を与えるわけです。では、どのように適正額を判断すればいいのでしょう。そこで、ヒントとなるマネーデータを紹介しましょう。以前私が取材した小林紀子さん(仮名)は、会社員のご主人と2人のお子さん(2歳と1歳)の4人家族。小林さんのパート収入と合わせて、世帯の手取り月収は32万円です。他に児童手当3万円があります。
支出では保険料がひときわ目立ちますが……
そんな小林さんの家族の保険料は月額にして約7万6000円。保険料の手取り収入に占める割合は、児童手当を含めても22%に達しています。夫婦とも勤務先はボーナス支給がないため、年収ベースで見ても負担率は変わりません。
一方、貯蓄に関しては児童手当のみ、3万円を毎月積み立てています。つまり、給与からは貯蓄できず、実際の家計収支はトントンということ。小林さん自身、そこが悩みでもあります。確かにこの金額だけを見れば、小林さんの保険料は明らかに「高過ぎ」であり、貯蓄できない原因とも思えます。しかし、はたしてそうでしょうか。次に、その保険の中身を見てみましょう。
すべてが「支出としてみなされる」保険料なのかどうか
小林さんの家族が加入している保険は、自動車保険を除き全部で11本。そのうち、学資保険が3本ありますが、その目的は教育資金づくりですから、保険料の合計額4万2143円は毎月積立貯蓄をしていると考えるべきでしょう。また、死亡保障は夫婦とも貯蓄性のある終身保険で確保しています。しかも、保険のタイプが低解約返戻金型ですから、中途解約して教育費や老後資金に使うという目的で加入する人が多く、小林さんも同様の理由でした。したがって、見方によってはこれも貯蓄ということになります。結果、医療保障にかかる保険料の1万4780円だけが「支出としてみなされる」保険料とも考えられるわけです。
もちろんあくまで保険商品ですから、流動性がきわめて低いことや保険としての運用コストが事前に保険料に組み込まれている点などで、貯蓄商品とは異なります。また、貯蓄性があるからと、何でも保険商品で備えてしまっては、家計そのものを圧迫しかねません。
それでも、学資保険や終身保険に加入していながら、まったく貯蓄ができないと決めつける必要はないということです。また、小林さんはある程度まとまった貯蓄があります。現時点で、貯蓄ペースが低くても、さほど焦る必要はないとも言えるでしょう。
保険は、あくまで必要最小限の保障を合理的に確保することが前提です。したがって、死亡保障や医療保障が必要以上に厚い場合、保険料は「高過ぎ」ということになります。また、学資保険や個人年金保険のように、貯蓄を目的とした保険であっても、その保険料によって毎月家計が赤字である、あるいは現時点で貯蓄が少ない(生活費の半年~1年分以下)のであれば、見直しが必要でしょう。
家族構成の変化や住宅購入など、ライフプランに合わせて資金をどうシフトしていくか、といったことも保険料を考える要素となります。それらを定期的にトータルでチェックしていくことで、家計における適正な保険料は導き出されることを知っておいてください。
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