どうやってつくるの?
川北さんの作品のつくりかたは、画面の大きさによって異なります。写真のような小さな作品の場合、水槽に板を沈め絵具を入れてドローイングをし、水をスポイトで吸って行きます。
水槽の水をスポイトで丁寧に取って行きます
濡れた板は時間が経つと乾燥し、絵具が板に定着します。このような制作スタイルは、おそらく川北さんのオリジナルでしょう。
作品は見た目も中身も大切
川北さんの作品を見たとき、私は「気持ちよく吸い込まれそうだ」と思いました。皆さんは何を感じるでしょうか。川北さん自身は「形」を表現したいのではなく、そのものの「本質」を探りたいそうです。「たとえば緑色をつかった作品では、葉の色をそのまま再現しているのではなく、私があるとき見た葉の色、遠くの霞が掛かった山の色、といった緑色をいくつも思い出して、緑色をつくります。自分の手で直接線を引くのではなく、水のゆらぐ線をそのまま画面に定着させることで、より自然のさまを表現できるような気がしています」。
こうした作家のコンセプトを知ることは、現代美術の作品を見るときの糸口にもなります。つまり、作品は見た目だけでなく、中身も大切なのです。
アーティストの生活
アトリエ周辺
「いまはアトリエを片付けながら、来年の展覧会の作品制作に専念しているところです。被害にあったことで、今まで以上に自然について考える時間も多くなりました」。
苦悩や悲しみさえも、川北さんのこれからの作品に反映されるかもしれませんね。
■今後の展覧会スケジュール
「VOCA展2014」
上野の森美術館
2014年3月15日(土) ~ 3月30日(日)
■プロフィール
川北ゆう(かわきた・ゆう)
1983年京都府生まれ。2006年京都精華大学芸術学部造形学科洋画分野卒業。現在、国内外で個展やグループ展で作品を発表している。
http://www.yukawakita.com/