提出しないと、こんなに税金が増える!
扶養親族等申告書を提出した場合と、しなかった場合では、税金の計算式が異なります。また、提出しないと、本来受けられるはずの各種所得控除を受けることができなくなりますので、年金から源泉徴収される所得税が大きく変わってしまいます。具体的に計算してみましょう。
例えば、年金月額が16万円、社会保険料が月額2万円、控除対象配偶者あり、65歳未満という条件で試算してみます。計算はすべて月額です。
■提出した場合の計算式
源泉徴収税額=(年金支給額-社会保険料-各種控除額)×5.105%
設例の場合、各種控除額は配偶者控除3万2500円と基礎控除になります。基礎控除は(年金額×25%)+6万5000円で計算しますので、
(16万円×25%)+6万5000円=10万5000円
となります。これを税額の計算式に当てはめると、
{16万円-2万円-(3万2500円+10万5000円)}×5.105%=127円
■提出しなかった場合の計算式
{年金支給額-社会保険料-(年金支給額-社会保険料)×25%}×10.21%
設例の場合は、
{16万円-2万円-(16万円-2万円)×25%}×10.21%
=(14万円-3万5000円)×10.21%=1万720円
提出するとしないとでは、源泉徴収税額にこんなにも差が出てしまうのです!
もちろん、最終的に確定申告を行えば、余分に源泉徴収された税金は戻ってきます。でも、源泉徴収される税金が多いと毎月の生活をそれだけ圧迫します。少ないに越したことはないですね。
ちなみに、扶養親族等がいない人でも、基礎控除などの控除を受けるために必要なので、必ず返送してください。
なお、年金からの各種所得控除については下図の通りです。
提出を忘れてしまったら?
申告書の提出期限を過ぎてしまった場合でも、すぐに提出しましょう。提出した場合の金額で年金からの源泉徴収税額が計算し直され、その後に支払われる年金で調整が行われます。提出が遅くなってしまったりすると、調整が間に合わない場合もありますが、その場合は確定申告をして余分に源泉徴収された税金を取り戻すことになります。
提出すれば確定申告は必要ないの?
扶養親族等申告書はあくまで源泉徴収税額を決めるための書類に過ぎず、支払うべき税金は確定申告を経てはじめて確定されます。確定申告不要制度に該当する場合はしなくても大丈夫ですが、その場合でも源泉徴収時に考慮されない、寄付金控除や医療控除等を受けたい場合には確定申告をしないと還付を受けられませんので、注意が必要です。【関連記事】
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