コンパクト市場にもクーぺスタイルの4ドアを

M・ベンツCLAクラス

CLA180(335万円)、CLA250(459万円)、4WDモデルのCLA250 4MATIC(484万円)、ハイパフォーマンスバージョンのCLA45AMG 4MATIC(710万円)をラインナップ。ボディサイズ(CLA250)は全長4685mm×全幅1780mm×全高1430mm

M・ベンツCLA45AMG4マチック

360ps/450Nmの2リッター直噴ターボエンジンを積むCLA45AMG4マチック。パフォーマンスを追求した4WDシステムを備える

メルセデス・ベンツというブランドの価値は、自動車の機能性の追求において他社に負けないという点にあった。機能が全てに優先される。逆にいうと、なんであれ、機能性を損なうような企てとは無縁のブランド、であったはずなのだ。20世紀のはじめの頃までは……。

初代CLSの登場は、大事件であった。背の低いサルーンという考え方は日本車の方が先だったし、大昔には2ドアセダンという呼称もあったけれども、4ドアクーペというカテゴリーを世界に広めたのは間違いなくCLSであり、それをメルセデスが世に送り出したということで大いに驚きをもって迎えられたのだった。CLSは、セダンとしての機能=主に後席居住性を犠牲にして、デザインを採ったクルマだったからだ。

4ドアクーペブームは今や多くのブランドに伝播し、プレミアムスポーツブランドが4ドア市場に参入する誘い水にもなった。一方、自信をつけたメルセデスはといえば、ブランド支持層の若返りを託したコンパクトカー市場にも、クーペスタイルの4ドアを送り込むことになった。それが、このCLAクラスというモデルである。
M・ベンツCLAクラス

レーダー型衝突警告システムのCPAを標準採用。これは前走車や障害物に2.6秒以内に衝突するおそれがあるとドライバーに警告、警告後にブレーキ操作が十分でない場合に必要な制動力を自動で補ってくれるもの。オプションでセーフティパッケージも用意される

Aと付くからには、ベースはAでなければならない。というわけで、Aクラスベースの、それゆえパワートレインやラインナップ構成もAクラスとほぼ同じ、コンパクトセダンである。ボディサイズはほぼ現行型Cクラスと同じで、来春デビュー予定の新型Cクラスが大型化することを見越してのサイズ感というわけだろう。

ベースがAクラスなわけだから、当然、このCLAクラスもFF(前輪駆動)だ。CLAをCクラスの代わりとして位置づけた場合、その走りのキャラを脇に置けば、ずっとシャレたカタチだし、若々しいし、パーソナルな印象が強いし、それでいてトランク容量はCよりあるし、さらにベンツ自身にとっても収益性が高い。M・ベンツのFFなんて、と思う層は50代以上のベテランドライバーだけだろう。そういう方々は引き続き、少し大きくなるけれども、Cクラス以上に乗って欲しい、とまあ、そういうことなんだと思う。
M・ベンツCLAクラス

グリルはボンネットを長く見せるため、前方に張り出すように配置。Aピラーからトランクリッドまで繋がるアーチ状のルーフライン、湾曲したリアウインドウとトランクリッドがクーぺらしさを表現する

試乗中も、街中での注目度は抜群、この手のクルマとしては異例の高さだった。試乗会のベースとなった六本木のメルセデスコネクション周辺では、M・ベンツなど珍しくもなんともない、はず。けれども、よく視線を集めた。若い男女も熱心に見つめている。そんな様子を見ていると、単純に格好いいクルマ、として発見し、それがM・ベンツであることを確認(でかいグリルスターがモノを言う!)していっそう驚く、そんな感じだった。

もっとも、個人的には、フォルムの美しさは認めても、ソレ以外のアンバランスさはどうも好きになれない。FFのクーペで格好いいクルマなんてピニンファリーナの手がけたプジョー406クーぺ以来絶えて久しい。無理矢理4ドアなんだから、なおさらで、例えばノーズやタイヤハウスの位置取りがおかしい。これはもう、前掻きの宿命だ。
M・ベンツCLAクラス

SLS AMGの流れを汲む丸形エアアウトレットや、チューブデザインのメーターパネルなどでスポーティさを演出。サイドの張り出しを強めフィット感とサポート性を高めた、ヘッドレスト一体型のスポーツシートを標準で採用