腕次第ではフェラーリF12にさえ肉薄できる
さて、そろそろ試乗の報告に移ろう。ノーマルAT、Z51の6AT、そしてZ51の7MTに試乗したが、最も好印象だったのは、2番目、Z51の6AT仕様だった。
とにかく、ノーマルとZ51とでは、乗後感がまるで違う。ノーマルAT仕様はまるで高級サルーンのような乗り心地としなやかさを持つ、上質なグランツーリズモといった風情であったのに対して、Z51は、相当にスパルタンだ。もちろん、モードセレクターをツアーやエコにしておけば、それなりにコンフォートなライドフィールをみせてくれる。けれども、ひとたびトラックモードを選べば、エンジンが騒ぎだし、サスはビシッと固まって、ボディは一回りも小さくなったように思えてしまう。フラット&ハードな走りっぷりは、なるほど、世界最新レベル。強烈なエグゾーストノートを聞いているうちに、これを味わえる今が華、とまで思ってしまった。それにしても、人車一体感をコルベットに感じる時代がくるなんて!
もちろん、7MT仕様でも様子は同じ。なぜだかパドルシフトがついていて、それを引くとシンクロレブ機能が働く。マニュアルで強力なV8エンジンを操る楽しみは、確かに捨てがたい。けれども、ここまでハイパワーになってしまうと、忙しくMTを操作すること自体、気を使うし、面倒になってしまう。個人的には、機械とつながる感じは捨てがたいが、冷静に考えて、パフォーマンスを自信をもって扱えたという点で、ATに軍配を上げたい。
歴代コルベットとの、最大の違いは、クルマの大きさをまるで感じないことに尽きる。例えば、最新のジャガーFタイプにも、機動力の高さという点では、見劣りしない。コイツとなら、どんなところでもクルマで行く気になるだろう。今までのコルベットなら、遠慮しがちだったシチュエーションであったとしても……。
カーボン製エンジンフード、カーボン・ナノコンポジット製アンダーパネル、複合素材のフェンダーやドアなどの軽量素材を採用。新型アルミフレームも用いられ、重量を1499kgに。前後重量配分は50:50とされた