輸入車/注目の輸入車試乗レポート

コルベットは世界最高レベルのFRスポーツへ(2ページ目)

新生GMの大復活の証となる新しいコルベット。スポーツカーとして世界の最先端を走るべく、最新のレーシング・エアロダイナミクス技術を用いたウルトラモダンな仕立てに。世界最高レベルのFRスポーツに仕上がったC7、固定概念に惑わされることなく、パフォーマンスを一度味わってほしい。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド


腕次第ではフェラーリF12にさえ肉薄できる

シボレーコルベット

アクティブレブマッチング機能やローンチコントロールが付く7MT、リモートスタート機能とローンチコントロールが付くパドルシフトを備えた6ATを用意

さて、そろそろ試乗の報告に移ろう。

ノーマルAT、Z51の6AT、そしてZ51の7MTに試乗したが、最も好印象だったのは、2番目、Z51の6AT仕様だった。
シボレーコルベット

Z51にはマグネティックライドコントロールやパフォーマンスサスペンション、専用クーリングシステムなどを装備。トラクションマネージメントシステムやパフォーマンスエキゾーストシステムも備えた

とにかく、ノーマルとZ51とでは、乗後感がまるで違う。ノーマルAT仕様はまるで高級サルーンのような乗り心地としなやかさを持つ、上質なグランツーリズモといった風情であったのに対して、Z51は、相当にスパルタンだ。もちろん、モードセレクターをツアーやエコにしておけば、それなりにコンフォートなライドフィールをみせてくれる。けれども、ひとたびトラックモードを選べば、エンジンが騒ぎだし、サスはビシッと固まって、ボディは一回りも小さくなったように思えてしまう。フラット&ハードな走りっぷりは、なるほど、世界最新レベル。強烈なエグゾーストノートを聞いているうちに、これを味わえる今が華、とまで思ってしまった。それにしても、人車一体感をコルベットに感じる時代がくるなんて!

もちろん、7MT仕様でも様子は同じ。なぜだかパドルシフトがついていて、それを引くとシンクロレブ機能が働く。マニュアルで強力なV8エンジンを操る楽しみは、確かに捨てがたい。けれども、ここまでハイパワーになってしまうと、忙しくMTを操作すること自体、気を使うし、面倒になってしまう。個人的には、機械とつながる感じは捨てがたいが、冷静に考えて、パフォーマンスを自信をもって扱えたという点で、ATに軍配を上げたい。

歴代コルベットとの、最大の違いは、クルマの大きさをまるで感じないことに尽きる。例えば、最新のジャガーFタイプにも、機動力の高さという点では、見劣りしない。コイツとなら、どんなところでもクルマで行く気になるだろう。今までのコルベットなら、遠慮しがちだったシチュエーションであったとしても……。
シボレーコルベット

カーボン製エンジンフード、カーボン・ナノコンポジット製アンダーパネル、複合素材のフェンダーやドアなどの軽量素材を採用。新型アルミフレームも用いられ、重量を1499kgに。前後重量配分は50:50とされた

新型コルベットは、間違いなく、世界最高レベルのFRスポーツに仕上がった。コルベットという名前からイメージされる固定概念に惑わされることなく、色眼鏡を外して、このパフォーマンスを一度味わってほしい。ポルシェ911カレラSを上回る、ドライバーの腕次第ではフェラーリF12にさえ肉薄できる性能を、確かめないという手はないだろう!
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