志望校は受験校とはちがう
似たような偏差値の学校でも、校舎の雰囲気や先生方、在校生のカラーはかなり異なります。
9歳~12歳はゴールデンエイジ、黄金期と呼ばれています。ゴールデンエイジは思考の柔軟性が高く、あらゆることの習得に適しています。この時期の子どもの吸収力は非常に高く、数カ月で一気に成績が上がることが起こります。高い目標を目ざして勉強を進めていくことが、中学受験の醍醐味ではないでしょうか。今の偏差値に合わせて志望校を選ぶのではなく、志望校のレベルに到達することを目標にすればいいのです。
偏差値で選ぶと失敗する理由
志望校は偏差値で選んではいけないと言われています。偏差値で学校を選ぶということは、結婚相手を年収で選ぶのと同じだと言えばわかりやすいかもしれません。偏差値は学校選択するうえでの一側面にすぎません。偏差値は毎年変動します。「隔年現象」と言って、1年ごとに受験倍率と偏差値が上下するのもよくあることです。人気が高い学校は翌年に偏差値ランキングが上がるので、受験を敬遠して倍率が下がります。そしてその翌年は倍率が落ち着いたのを穴場とばかりに受験者が集まるので、倍率と偏差値が上がるというのが隔年現象です。また、私立中学は生徒を集めるために多くの改革を進めています。たとえば、午後入試の実施、共学化、校舎新設、カリキュラムの大幅変更、新コースの設置、制服デザイン刷新など毎年さまざまな変更があります。そのような変更があった学校は人気が上昇する可能性が高くなります。おおらかな教育方針の偏差値40くらいの女子校で、娘にはレベル的にちょうどいいかと思っていたら、進学校への大幅な路線変更が発表され、偏差値ランキングが10近くアップしてしまったというような相談をよく受けます。
さらに近年、偏差値ランキング自体があてにならなくなってきているのをご存じでしょうか。私立中学の入試改革が進み、入試では各学校ともに個性的な問題が増えています。特に増加中の記述問題は各学校によって出題傾向の差が大きく、すべての中学入試の平均的な問題である模試の偏差値で入試の合否判定を測りにくくなっているのです。
学校見学で受けた印象や直感は、意外と正しい
私立中学の魅力は、個性的な教育理念にあります。教育理念は学校の校風となっています。似たような偏差値の学校でも、校舎の雰囲気や先生方、在校生のカラーはかなり異なります。したがって、成功する志望校選びのコツは意外なことに、「個人の感覚」です。学校見学に行った際に、「なんだか好感の持てる学校」と「なんとなく雰囲気がイヤな学校」に分かれるのではないでしょうか。偏差値が高い学校でも、「うちの子には合いそうもない」という印象の学校もあれば、偏差値が低くても「こんな学校で学ばせたいな」という印象を受ける学校があると思います。そしてその印象や直感は「意外と正しい」のです。
いちばん大事なのは子ども本人の気持ちです。親が気に入った学校でも子どもの反応は今ひとつということもよくあることです。でも、親子ともに気に入る学校はきっと見つけられるはずです。受験学年になるまでに、多くの学校を見学することをおすすめします。
こだわりポイントをチェックする
自分だけのこだわりポイントはあるでしょうか。もしあれば、偏差値に縛られない学校選択をしやすくなります。「温水プールは外せない」とか「ITに力を入れている学校がいい」など、こだわりたいポイントを書き出しておき、その条件に似合った学校をピックアップしていくとよいでしょう。そのうえで、どのような点をチェックすればよいのかを以下にまとめました。参考にしてみてください- 教育理念、学校のカラー(指導方法、校則、自主性の尊重度合い など)
- 宗教(カトリック系、プロテスタント系、仏教系 など)
- 大学付属校なら、系列大学への進学率
- 入りたい部活の活動状況
- 通学のしやすさ(通学時間の電車の混み具合、所要時間、乗り継ぎ など)
- カリキュラムの特色
- 施設の充実度
- 最近の大きな変化(共学化、校舎新設、カリキュラムの大幅変更、新コース設定、制服デザイン刷新 など)
- 在校生、卒業生からの評判