トータル予算は2000万円。将来の負担を少なく、可能性を持たせた購入計画を実践
― 「いざ購入」となって、中古であることへの不安や気にかかることはありませんでしたか?
由紀恵さん:最初は中古リノベーションのことを何も知らなかった私ですが、将来の筋書きを夫婦で十分に考えた上での購入だったので、迷いはありませんでした。
―リノベーション費用と物件購入代金を合わせた予算は2000万円とのことでしたが、物件の購入時は双方分を合わせてローンを組まれたのですか?
剛さん:物件購入代金1200万円のみ住宅ローンで、リノベーション費用と諸経費は自己資金と両親からの援助でまかないました。住宅ローンの返済期間をなるべく短くしたかったんです。
― それは、将来の負担を極力減らしておきたいという意図からでしょうか?
剛さん:そうですね。子どものことなどの将来に備えて、住宅購入による金銭負担をなるべく少なくしたかったのと、遠い将来は実家に戻って両親と一緒に暮らす可能性があったので、そのときまでにローンを払い終えていたいという考えからでした。
― いつかご実家に戻ることになったときは、現在のお住まいはどうなされるご予定ですか?
由紀恵さん:駅が利用しやすい立地を選んだのは、売却や賃貸に出すという可能性も考えてでした。新宿や渋谷、東京への移動も1時間圏内で、都心へアクセスしやすいことも、この物件を選ぶ際のポイントになりました。今のところは、主人のアトリエとして使い続けることを考えています。
― 郊外でも沿線の選び方によっては、都心への良好なアクセスが望めますよね。それから、埼玉エリアのマンションは基本的にファミリータイプで広く、定住派にはより魅力的なのではと思われます。実際に物件を探してみてどう思われましたか?
剛さん:都心部よりも後の時代にマンション開発が進んだからだと思うのですが、築年数がさほど古くなく、築30年~20年の中古マンションが多い印象ですね。ちょうど今が住み手の世代交代の時期で、売りに出る物件が増えているのかもしれません。新築マンションよりも流通量が多いので、希望の条件に合った物件を探せるし、何より価格がお手頃。リノベーション費用を考えても、中古は魅力がある選択肢だと思います。
郊外エリアでは、新築の建売住宅もリーズナブルですが、マンションの方が至便なロケーションにあることが多い傾向にあります。「中古リノベーション」なら、「自分好みの間取りやインテリアのいえに住みたい」という希望を盛り込んでも、現実味のあるコストでマイホームが実現できるでしょう。住み替えが予想されるのであれば、物件選びの際に将来の活用方法を考慮する必要がありますが、すでに郊外エリアに生活圏を持っている人にとっては、新築以外の新たなマイホーム獲得手段として、「中古リノベーション」は着目すべき手法ではないでしょうか。
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【埼玉県さいたま市 須藤邸 DATA】
■住人データ
須藤剛さん/須藤剛建築設計事務所 TSUDOU DESIGN STUDIO 主宰(30代)
須藤由紀恵さん/ハンドメイド石鹸ブランド『CALMO』デザイナー(30代)
愛犬
■お住まいデータ
専有面積/59.33平米
建物竣工年/1986年
構造/鉄筋コンクリート造
リノベーション完了年/2012年
リノベーション総工費/600万円
■リノベーション設計
須藤剛建築設計事務所 TSUDOU DESIGN STUDIO
http://tsudou.jp/
■ リノベーション施工
HandiHouse project
http://handihouse-project.jp/