ダイビングで使う道具について
海の中という特殊な環境を楽しむダイビングにおいて、器材は「自分の命を預けるもの」と考えるべき重要なもの。信頼できるもの、ストレスなく快適に使えるものをこだわって選びましょう。
マスク
水中でものを見るのに必要不可欠なのがマスク。鼻まで覆う作りになっており、水中で圧力がかかった際、鼻から息を吐くことでマスク内の圧平衡をすることが可能です。マスクの形によって視野の広さが異なるので、購入する際は実際に顔につけて確かめてみることがおすすめ。2眼タイプは、度付きのレンズにつけかえることもできます。⇒目の悪い人がダイビングを楽しむための注意点
スノーケル
スノーケルを使えば、水面に顔をつけたまま呼吸をすることが可能。潜降する場所まで水面移動する際、タンク内の空気を節約できるほか、万が一のエア切れの際にも、水面で安全に呼吸することができるなどのメリットがあります。フィン
いわゆる足ヒレ。水中で効率的に移動するために必要で、水中での動きやすさや快適さは、このフィンによって決まるといっても過言ではありません。脚力やダイビングスタイル、スキルのレベルによって適したフィンは変わってくるので、ダイビングを続けていくに従って、自分に合ったものに買い換えていくといいでしょう。グローブ
海の中では、生物には手を触れないというのが基本ですが、ときには強い流れがあって岩をつかんで体を支えなくてはならなくなったり、危険な生物にうっかり触ってしまう可能性があります。そんなときにグローブをしていれば、手を保護してくれるので安心。保温効果もあります。ブーツ
足場の悪いビーチや岩場を歩いてケガをしないように、またフィン擦れをおこさないように、足の保護を目的としたもの。冬場や寒冷地でのダイビングでは、保温のためにも欠かせません。ソールがしっかりとしたタイプと、足袋やソックスのようなソフトタイプがあります。レギュレーター
水中で呼吸するために必要不可欠な器材。タンクの中に入っている高圧のガス(空気)を、まわりの水圧に合わせて呼吸できる圧力にまで自動的に調整する仕組みを持っています。最近のレギュレーターは、水中でも陸上と変わらず自然に呼吸できるほどのスグレモノ。軽量&コンパクトなものも多くなってきています。オクトパス(バックアップ空気源)
バディが空気切れになった場合などに、自分の空気を分けるための予備の空気源。自分のレギュレーターが壊れた際に使う場合もあります。BCD
「Buoyancy Control Device」の略。水中で浮力をコントロールするために欠かせない器材です。中に空気を入れたり出したりすることができる、いわば浮き袋のようなもの。左肩についているパワーインフレーターの先端についた2つのボタン(給気ボタンと排気ボタン)を使うことで、空気を入れて体を浮かせたり、空気を抜いて体を沈めたりすることができます。「BC」とも呼ばれます。ダイブコンピューター
水深の変化に対応しながら、体内に蓄積された窒素量を計算し、安全に潜れる時間があとどれくらい残っているかを計算し表示してくれる機械。陸上でダイビングのシミュレーションができたり、潜水時間や水深を記録しておくログメモリー機能もついています。ゲージ
どれくらい空気が残っているか、どれくらいの深さを潜っているのか、どの方向に進んでいるのか。安全にダイビングを楽しむために常に知っておきたい情報を知るための計器がゲージです。空気の残量を示す残圧計、深度を示す水深計、方向を示すコンパスがあります。ウエットスーツ
水着の上から着用する、体の保温と保護を目的としたスーツ。体とスーツの間に入った水が体温で温められ、それが断熱材の役割を果たすので、体を保温することができます。生地の厚さも3mm、5mm、6.5mmと種類があり、半袖、長袖など形もさまざま。これらを組み合わせることで、幅広い水温に対応することができます。ドライスーツ
スーツの中に水が入らないように首と手首の部分がしっかりとシールされており、ブーツはスーツと一体になっています。またファスナーも防水ファスナーという特殊なものを使用。体が濡れないぶん保温力もあり、国内で1年中ダイビングを楽しむうえでの必需品です。初めて使うときはインストラクターにしっかりと使い方を教えてもらいましょう。海の中という特殊な環境を楽しむダイビングにおいて、器材は「自分の命を預けるもの」と考えるべき重要なもの。体に合わなかったり、使いにくい器材はダイビング中の大きなストレスになりますし、器材が故障して水中で息ができなくなったり、浮力が確保できずに水面に浮かべない……なんてことを想像するとゾッとしますよね。それに対して、自分の体にぴったりとフィットし、どんな状況でも機能を適切に使うことができる器材であれば、ダイビング中のストレスは大きく軽減し、快適に楽しむことができるでしょう。ですから、自分が使うダイビング器材については信頼できるもの、ストレスなく快適に使えるものをこだわって選ぶべきですし、定期的にメンテナンスをして腐食や劣化による故障の予防をすることが大切です。
そういった意味では、自分の器材を購入してダイビングを楽しむのがベストですが、「まだダイビングを続けていけるかわからない」という時点で高額の器材を購入するのは抵抗があると思います。購入のタイミングは「自分がほしいと思ったとき」。自分にとって必要性を感じたときに購入しましょう。マスクやスーツなど、フィット感が重視されるものからそろえるのも手です。
なお、「一生使えるものだから」と高額な器材を勧めてくるダイビングショップもあるようですが、高ければいいというものではないし、ダイビングスキルの上達や目的の変化に応じて(あるいは体型の変化によっても)、自分に合ったダイビング器材は変わってきます。また、ゴムを使っている製品やスーツは、どうしても使っているうちに消耗し、保温力が落ちたり、破損しやすくなってしまいます。周囲のダイバーにも相談するなどして、自分に本当に必要な器材を購入するようにしましょう。
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