ダイビングはどれくらい長く潜れるのか?

ダイビング,潜水時間

少しでも長く海の中の世界を楽しみたいところですが、スキューバダイビングで潜っていられる時間には限りがあります。

ダイビングに関する話題で、以前に紹介した「スキューバダイビングで潜れる深さはどれくらい?」と同じくらい多い質問が、「ダイビングではどれくらい長く水中に潜っていられるの?」というもの。

ギネス世界記録では、海でのスキューバダイビングで最も長く潜った記録として、2016年7月にキプロスで達成された「142時間42分42秒」がありますが、これは多くのサポートを受けて行なわれた特殊なもの。一般的なレジャーダイビングではどれくらいの時間を潜っているのか、詳しく解説します。

 

1ダイブで潜っている時間は30分~1時間くらい

通常のレジャーダイビングで潜っている時間は、30分~1時間というのが一般的です。じっくりと写真を撮りたいフォト派ダイバーなどは、1時間以上潜っていることもあります。

「潜れる深さ」は、ダイバーのレベル(ランク)によって最大水深の制限がありますが、「潜れる時間の長さ」は特に制限はされていません(地域によっては潜水時間にルールを設けているところもあります)。とはいえ、自分の好きなだけ潜っていられるというわけではなく、ダイビングで潜っていられる時間は、主に以下の2つの要素に左右されます。
 

タンク内の呼吸ガスの量

水中で呼吸をするためには、空気などの呼吸ガスが必要です(参考「スキューバダイビングで使うのは“酸素ボンベ”?」)。スキューバダイビングでは、その呼吸ガスを圧縮してタンク(シリンダー)に入れて持っていくため、その量には限りがあります。
 
ダイビング,タンク

タンクの容量は6リットル、8リットル、10リットル、12リットルなど様々。国内では10リットルのタンクが多く使われています。エリアやダイビングサービスによっては、呼吸ガスの消費スピードの速い人向けに、より容量の大きなタンクを用意しているところも。


タンクの容量、呼吸ガスの充填量によって、水中に持ち込む呼吸ガスの量が変化するのはもちろんのこと、ダイバー個人の肺活量や運動量、疲労度といった個人差、水温や潮の流れなどの環境によって、水中で消費する呼吸ガスの量が変化し、潜っていられる時間は変わってきます。

例えば、同じ人が同じ量の呼吸ガスを持って潜ったとしても、暖かく穏やかな海でゆっくりと潜る場合と、速い流れに逆らって呼吸が荒くなりながら潜る場合では、呼吸ガスの消費のスピードが大きく異なり、後者のほうが早く呼吸ガスが減るため潜っていられる時間は短くなります。

また、潜る深さによっても使用する呼吸ガスの量は変わってきます。Cカードを取得するための講習中に学習しますが、水中では、深くなるほど大きな水圧がかかるため、圧縮された「濃い」呼吸ガスを吸うことになります。

そのため、同じ時間でも深い場所で潜っていたほうが呼吸ガスの消費が早くなり、潜っていられる時間は短くなります。例えば、水深10mと水深30mを比べた場合、水深30mでかかる圧力(4気圧)は、水深10mでかかる圧力(2気圧)の倍となるため、他の条件がすべて同じであれば、呼吸ガスは倍のスピードで消費されます。
 

体内に蓄積する窒素量

スキューバダイビングで潜る時間で、もうひとつ考慮しないといけないのが体内に蓄積する「窒素」の量。これもCカードを取得するための講習中に学習しますが、ダイビングの呼吸ガスには通常空気を使用し、その79%を占める窒素は、呼吸で使用されずに水圧によって体に溶け込みます。

潜る深さが深いほど、潜る時間が長いほど多く溶け込む傾向にあり、その量が多くなりすぎると、水面近くに浮上して水圧が下がったときに、溶けていた窒素が体の中で気泡化し、「減圧症」が発生してしまうのです。

それを防ぐためには、ダイブテーブルやダイブコンピュータを使って、自分が潜る深さで潜っていられる時間(「ノーストップタイム」や「減圧不要潜水時間」と呼ばれます)をチェックすることが大切。たとえ、タンクの中にまだ呼吸ガスが残っていたとしても、その時間を超えて潜ることは、減圧症のリスクを増大させるため、絶対に避けるべきです。
 
ダイビング,ノーストップタイム,ダイブテープルやダイブコンピュータ

ノーストップタイム(減圧不要潜水時間)は、ダイブテープルやダイブコンピュータで確認することができます。


上記2つの要素のほか、水温の低い海では「寒さ」によって潜っていられる時間に限界がありますし、潜っている最中にトイレに行きたくなってダイビングを切り上げることもあります(参考「スキューバダイビング中にトイレに行きたくなったら?」)。
 

空気に余裕を持って潜ることが大切

ひとつ注意したいのは、いずれの場合であれ、ギリギリまで潜るのは避けるということ。たまに「せっかくの空気を残してダイビングを終えるのはもったいない」という人がいますが、予定していたのと違ったコースを進んでしまったり、水面に浮上したときにボートに出会えずに流されてしまった場合など、呼吸ガスの残量に余裕がないと万が一のトラブルの際に対応できずに重大な事故につながってしまう恐れもあります。

ちなみに、テクニカル・ダイビングには「1/3ルール」というのがあり、これはダイビングの行きに1/3、帰りに1/3の呼吸ガスを使い、予備に1/3を残しておくという考え方。レジャーダイビングでもこれくらい余裕を持って、安全にダイビングを楽しみたいものです。

また、ノーストップタイム(減圧不要潜水時間)についても、ダイブコンピュータなどに表示される時間はあくまでも目安で、それを守ったからといって減圧症にならないことが約束されるものではありません。ダイバーなら「少しでも長く海の中の時間を楽しみたい」という気持ちはわかりますが、安全に楽しむためにも、時間には余裕を持って潜るようにしましょう。

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