青春映画の金字塔『Kids Return キッズ・リターン』2作品
北野武監督作の『Kids Return キッズ・リターン』は青春映画の傑作としていまだ語り継がれる作品ですが、『Kids Return キッズ・リターン』で金子賢と安藤正信が演じたマサルとシンジ、その後の物語では役者をチェンジ。三浦貴大と平岡祐太が演じています。まずは『Kids Return キッズ・リターン』と『キッズ・リターン 再会の時』を続けてご紹介しましょう!
『Kids Return キッズ・リターン』(1996年度作品)
学校の問題児だったマサル(金子賢)とシンジ(安藤正信)。マサルはケンカをきっかけにボクシングに目覚めるものの、やがてヤクザの道へ。付き合いでボクシングを始めたシンジは逸材と言われるボクサーに成長するけれど……という落ちこぼれ青年ふたりの物語。
夢中になったかと思うと、壁にぶちあたったり、常にフラフラしているのが青春であり、リアルな青春は簡単に日の当たる場所に出させてくれないというのがよくわかる。ラストの「何も始まってねえよ」というマサルの言葉に希望の光を見出す者もいれば、悪あがきと思う者もいるでしょう。そんな風にいろいろな解釈ができるからこそ、この映画は誰の心にもフィットする青春映画として、いまだ語り継がれる魅力を放っているのかもしれませんね。
監督・脚本: 北野武
出演: 金子賢、安藤政信、森本レオ、山谷初男、柏谷享助、大家由祐子、寺島進、モロ師岡ほか
『キッズ・リターン 再会の時』(2013年度作品)
あれから10年、ヤクザのマサル(三浦貴大)は出所したばかり、シンジ(平岡祐太)はボクシングをやめざるをえない状況になり、工場の警備員になっていました。そんな二人が再会し、ボクシングをやめたシンジをマサルは再びリングにあげようとするけれど……。
やっぱり本作でもうだつのあがらない二人。人生を諦めかけているシンジ、シンジに再会してかつての熱い想いが甦るマサル。二人とも輝く未来を思い描くことなく、目の前のことをこなすのが精一杯という不器用さに「変わらないなあ」と思う人も多いかも。見どころはシンジのボクシング。ボクシングシーンはアップとスローを多用して劇画のようになりがちだけど、この映画は違う! あの音、動き、緊張感がスクリーンを貫き大興奮! 長回しで撮影されたごまかしのないファイトシーンは一見の価値ありです。
2013年10月12日公開
監督: 清水浩
出演: 平岡祐太、三浦貴大、倉科カナ、中尾明慶、市川しんぺー、小倉久寛、池内博之、 杉本哲太、ベンガル
©2013『キッズ・リターン 再会の時』製作委員会
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