三菱地所レジデンスがリノベーション事業参入
先日、マンションデベロッパー大手の三菱地所レジデンスがリノベーション事業に参入すると発表。今月(2013年10月)より専任組織を設け、当面は年間100戸売上30億円を、将来的には200億円を目指すという。リノベーション事業とは、中古マンションを1棟ないしは1戸買取り、内装や設備を刷新して再販するビジネスモデルである。リリースには、「バリューチェーンを活かし、スケールメリットを調達コストに還元する」とある。つまり、新築分譲マンションで築き上げた(建物に関連する)仕入れ力を買取事業でも活用できると踏み切ったのだ。ストック(既存)マンションは増加の一途で、良質な中古マンションの円滑な流通は長期的な課題であると言われている。
中古マンションの買取再販は、マンション専業デベロッパーが取り組む例としては80年代後半のリクルートコスモス(現コスモスイニシア)が好例。新築マンションの用地仕入れが企業規模の成長に間に合わず、相場感を応用できる中古転売モデルは安定した収益源になった。ただし条件が二つある。仲介事業を抱えていること、不動産相場がわずかながらでも右肩上がり(が期待できる)環境であることだ。なぜなら、買取自体はすでに専門業者が多く存在し、情報ルート含め既存ネットワークが構築されているからで、新たに参入する場合、仕入れ(買取)を量的に確立するのは容易ではないと思われるから。後者は説明を省く。同業大手では野村不動産グループが買取再販を展開しているが、事業母体はやはり仲介の野村不動産アーバンネットである。
リノベーションとリフォームの違い
住宅修繕はかつてリフォームと呼ばれていた。もちろん現在でも使う場面はあるが、どちらかといえば大規模に刷新するようなケースではリノベーションと表現することが多いようだ。厳密な定義が存在するのかしないのか定かではないが、例えば事務所を住宅に転換したような例ならばリノベーションという方が今では一般的なようで、それにならえば、リフォームは「新しく直す」、リノベーションは「新しくすることで付加価値を加える」と捉えられなくもない。さて、三菱地所レジデンスの買取再販(リノベーション)事業は、すでに江東区や中央区で先行事例を実施済という。参考に添付されていたのが右の画像である。江東区の物件では、クローズドキッチンをオープンに替え、機能性の高い、高級感のある設備に入れ替えた。新築マンションの水周り設備は、日進月歩の最たるひとつであるから、たとえ数年前竣工の築浅物件であっても、最新モデルのキッチンとで比べれば新しさを訴求することができるだろう。
同社は、おもだった買取対象を以下に限定している。エリアは首都圏の主要駅徒歩圏。新耐震基準の空室物件及び賃貸中空室物件で価格帯はリノベーション後再販価格が3,000万円~4,000万円を中心に幅広く展開。想定顧客は一次取得者層のファミリーを中心にシングルからディンクスまで幅広く想定。
好みが大きく分かれるマンションの「内装」に関しては、新築であってもリフォームに至るケースが存在するが、高額物件ではときに数千万円のコストをかけてまで取り込む例がある。二重床二重天井で階高のゆとりがあるマンションでは比較的コストが抑えられる場合も珍しくないようだ。
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