貯蓄が多い人の共通点は「生活設計」ってホント?
突然ですが、あなたは次の3つのうち、どれに当てはまりますか?- 生活設計を立てている
- 現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである
- 現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない
いかがでしょうか。実はこのなかで、「1. 生活設計(※1)を立てている」と答えた人ほど、貯蓄が多いという調査結果があるのです。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」(2020年)の「生活設計策定の有無」という項目を見ると、次のような傾向がわかってきました。
「生活設計を立てている」人の傾向
「生活設計を立てている」と答えた人の貯蓄額(※2)ごとの割合は、以下の結果となりました。- 貯蓄ゼロ:29.7%
- 貯蓄100万円未満:23.2%
- 貯蓄100万~200万円未満:33.9%
- 貯蓄200万~300万円未満:39.1%
- 貯蓄300万~400万円未満:38.4%
- 貯蓄400万~500万円未満:41.1%
- 貯蓄500万~700万円未満:44.2%
- 貯蓄700万~1000万円未満:44.4%
- 貯蓄1000万~1500万円未満:45.2%
- 貯蓄1500万~2000万円未満:48.9%
- 貯蓄2000万~3000万円未満:60.6%
- 貯蓄3000万円以上:60.8%
基本的に貯蓄が多くなるにつれて、「生活設計を立てている」という人も増えることがわかるでしょう。特に、貯蓄が2000万円以上の場合は、6割の人が「生活設計を立てている」と答えています。
なかには、そもそも貯蓄が多いから生活設計を立てようと思った人もいるかもしれませんが、「生活設計をしっかり立てていた」結果、「貯蓄が増えた」と考えることもできるでしょう。
「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」人の傾向
次に「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」と答えた人の、貯蓄額ごとの割合です。- 貯蓄ゼロ:36.7%
- 貯蓄100万円未満:59.2%
- 貯蓄100万~200万円未満:50.8%
- 貯蓄200万~300万円未満:43.6%
- 貯蓄300万~400万円未満:40.7%
- 貯蓄400万~500万円未満:44.2%
- 貯蓄500万~700万円未満:37.2%
- 貯蓄700万~1000万円未満:29.6%
- 貯蓄1000万~1500万円未満:32.0%
- 貯蓄1500万~2000万円未満:32.8%
- 貯蓄2000万~3000万円未満:25.0%
- 貯蓄3000万円以上:21.6%
貯蓄ゼロの人を除き、基本的には貯蓄が少なければ少ないほど、「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」と答えた人の割合が多くなっています。
このように答えた人は、2つのタイプに分かれるでしょう。「生活設計を立てなきゃ、立てなきゃ……」と思いながら、ずるずると先のばしにするタイプ。もう一方が、「生活設計を立てなきゃ」と思って実際に行動するタイプです。
後者は、無駄な出費に気づき、自分の収入の範囲内に出費をおさめ、今よりも多く貯蓄に回せるようになるはずです。ぜひ、「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」という人は、今すぐにでも行動に移してみましょう。
「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」人の傾向
「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」と答えた人の貯蓄額ごとの割合は、以下の結果となりました。- 貯蓄ゼロ:31.5%
- 貯蓄100万円未満:16.0%
- 貯蓄100万~200万円未満:12.7%
- 貯蓄200万~300万円未満:16.4%
- 貯蓄300万~400万円未満:18.6%
- 貯蓄400万~500万円未満:13.7%
- 貯蓄500万~700万円未満:17.9%
- 貯蓄700万~1000万円未満:21.6%
- 貯蓄1000万~1500万円未満:20.1%
- 貯蓄1500万~2000万円未満:16.1%
- 貯蓄2000万~3000万円未満:14.4%
- 貯蓄3000万円以上:16.5%
こちらは、貯蓄ゼロの人の「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」と答えた割合が、他に比べて際立って多くなっていることがわかります。貯蓄ができない方は「生活設計を立てていない」ことが原因かもしれないので、一度振り返ってみましょう。
一方で、貯蓄があっても「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」と答えている人が、およそ2割います。ある程度貯蓄があるという余裕から、生活設計を立てていないことが考えられます。
ただし、「以前は貯蓄が多かったけれど、あるときを境に急に貯蓄ができなくなって困った」ということは十分起こりえますから、今貯蓄があると思っていても、ぜひ生活設計を立てておくことをおすすめしたいです。
生活設計をこれから立てる上でのポイントとは?
では、これから新たに生活設計を立てる人のために、手っ取り早い方法を2ステップでお伝えします。■ステップ1:人生における「お金の使い時」を考える
人生には山と谷があるように、「お金の使い時」「貯め時」も必ずあります。「使い時」とは、結婚、新生活スタート、資格や留学などの自己投資、住宅購入、子どもの受験・入学などのイベントがあるときです。
子どもの私立学校への進学や留学などで、お金が多くかかることもあるでしょう。また、老後に収入がなくなる時期や、病気や失業した時期なども「お金の使い時(かかり時)」といえます。また、それほど大きな出費ではなくても、「旅行」「憧れのものを購入」というときにも、比較的大きな出費が必要ですよね。
病気や失業などは予測できませんが、それ以外はある程度予測ができます。子どもの進学なら、私立か公立かなどの選択によって、出費はかなり変わります。今後の人生を想像して、「どんなものに」「いつ」「いくらくらい」お金が必要になるのかを考えてみましょう。
■ステップ2:「貯め時」にガッチリ貯めて「お金の使い時」に備える
ステップ1では、「お金の使い時」についてお伝えしましたが、逆に、それ以外の時期は大きな出費がないので、「貯め時」になります。
人生の大事な「貯め時」なのに、なんだか余裕があるからといって収入全部を使っていると、いざ「お金の使い時」がやってきたときに困窮してしまいます。「使い時」以外の時期は、「使い時」までにお金を用意できるよう、家計を引き締めて月々の貯蓄額を少しずつ増やしていきましょう。
以上、生活設計を立てることと、貯蓄の関係についての考察をお伝えしました。生活設計を立てることで、必要な時期にお金を使えることになり、豊かな生活につながります。
また、調査結果にも表れているように、生活設計を立てることで、貯蓄アップにもつながっていくことでしょう。「現在、生活設計を立てていない」という人は、ぜひ上記を参考に、少しでも早く生活設計を立て、豊かな人生と貯蓄アップにつなげてみてください。
(※1)ここでいう「生活設計」とは、家計全体における資産と負債のバランス、過去1年間の家計運営、老後の生活についての考え方などを指しています。
(※2)引用元の調査では「金融資産保有額」となっていますが、ここでは便宜上、「貯蓄額」という表現を使用しました。また、例えば来月のカード引き落とし代など、日常的に使うために一時的に貯めているお金のことではなく、「将来のために備えている貯蓄や運用のためのお金」をここでは「貯蓄」とします。
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