行政書士試験/行政書士のキャリア・開業

資格取得後の独立体験記 第13回「偏見と戦う道」(2ページ目)

行政書士を開業して4年目くらいを迎えると、依頼も増えて様々な人々に出会うことになります。この頃、悩まされたのが行政書士への偏見です。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド


同じ士業からの偏見

士業にはいろいろな種類があります。弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、不動産鑑定士、弁理士、土地家屋調査士、海事代理士など。その中でも、世間一般的に、社会的地位が高いといわれる士業のある事務所から、連絡がありました。

グループに入れてもいい行政書士を探している。他にも行政書士を数人選んでいて、集団面接をして、決めたい。だから、事務所に来てくれ。とのことでした。

ビジネスチャンスと言えばビジネスチャンスかもしれません。しかし、私は気が進みませんでした。明らかに、士業の中で上下関係を設定しています。このような関係をつくってしまうと、無理な仕事を押し付けられる可能性もあります。お断りをしたのは言うまでもありません。

また、他のある士業の事務所からは、自分は嫌なのだが、事務員がどうしてもいうから、連絡をしたと述べた上で、頼みごとを私にするのです。

こう言った事務所は依頼者に対しても同じような態度をとるのでしょうか。士業は先生と言われることが多いから、いつの間にか勘違いをしてしまうのでしょうか。別に、士業だからと言って偉いわけでも何でもないのにと、当時、この思いを強く持っていました。

過度な期待

行政書士に過度な期待を持っている依頼者に悩まされた時期でもありました。依頼が増加したからだと思います。簡単に言えば、行政書士は、弁護士と同じように紛争について、交渉・解決ができて、弁護士に依頼するよりも割安という偏見です。

原因は行政書士を題材とした漫画とドラマだと思います。この作品は、行政書士と言う職業の知名度を大幅に上昇させ、資格試験において行政書士試験ブームも作り出しました。その意味で、この漫画の貢献度ははかり知れません。しかし、同時に、誤った行政書士像を瞬く間に世間に広げたと思います。

漫画やドラマで出てくる行政書士像を思い浮かべて、過度な期待を持つ依頼者に対して、行政書士法の説明を繰り返しました。行政書士が紛争に関与し、相手と交渉して、解決に導くとことが違法であるということを何度説明したかわかりません。

終わりに

今思えば、仕事を獲ることの悩みが薄れて、他のことに気が行き、少し悩みすぎた時期だったと思います。また、話が暗くなっていく方向に……。しかし、そんな折、ふってわいたように、テレビ番組制作会社からアプローチが。次回は、「テレビ出演への道」というお話です。

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